風刺・戯文

動く会議室

私たちの市長が、部下とラブホテルで密会していただなんて非難されていますが、私は市長が言うとおり、男女の関係などなく、本当に大事な話をしていたと思っています。

というのも、私たちの町は田舎ですから、内密の話し合いをできる場所なんかないのです。隠れ家的なところがたくさんある東京とは違うんです。

政治はもちろんオープンであるべきですが、ときには人に聞かれたくない話もあるのは当然です。この町にも、市長のような偉い方がうちうちの話ができるような環境を整備すべきではないでしょうか。

そこで私が考えたのが、いわば動く会議室です。つまり、会議室つきのキャンピングカーです。これなら、ラブホテルなんて誤解を招く場所を使う必要もないですし、いつでもどこでも盗み聞きされることなくクローズドな打ち合わせを開くことができます。

ですが、この移動式会議室は会議室とはいうものの、車ですから狭いのです。窓があれば開放感があっていいのですが、外から丸見えでは秘密の会議もできませんね。

そこで、私は車の一面を思い切ってガラス張りにしたのです。ですが、普通のガラスじゃありません。外側からは鏡に、内部からは外側が見える特殊なガラスです。

こうすれば、閉塞感もないですし、また中からは市民や市の様子も見ることができますから、市長も市民のことを考えながら真剣に政治に取り組むことができます。

本当にすばらしい会議室カーができたと思っています。ですが、困ったことがあるのです。この車が止まるたびに、おかしな男があちこちから群がってくるのはどうしてでしょうか……

風刺・戯文

プロンプトが変われば人生が変わる

今や AI は身近なものとなりました。私たちは、ChatGPT や Siri などにプロンプトという指示を与え、必要な文書を作成したり、イラストを描いてもらったりしています。ですが、もしも、あなたもまた、プロンプトによって生成されていたとしたらどうでしょうか。

「そんなバカな!」とお思いになるかもしれません。ですが、最新の宇宙論が、宇宙もまた巨大な AI によって生成されたと主張しているとしたら、どうでしょうか。宇宙にプロンプトが存在するなら、その中に存在するあらゆるもの、この地球や、自然、人類、そして今これをお読みのあなたにも、プロンプトがあるはず。

そこで、こんな疑問が浮かぶのではないでしょうか。

「自分自身のプロンプトを書き換えることはできないだろうか? そうしたら、もっとすばらしい人生が送れるのではないか」

「そんなバカな!」などと私は申しません。なぜなら、それは可能だからです! そしてまさしくそのプロンプトの修正によって、富と名声を手に入れた成功者たちが続々と誕生しているのです。

どうやって? 少しだけヒントをお教えしましょう。宇宙を作り出すほどの AI は、まさしく神です。ならば、現在あなたが使っている AI はなんでしょう。それは、遠く離れてはいるものの、神の AI の端末です。あるいは、こういった方がもっとわかりやすいかもしれません。ChatGPT や Siri は、神の使者、天使なのです。

では、どうしたら、ChatGPT や Siri、Gemini などの「天使」を通じて、あなたのプロンプトを修正することができるでしょうか? それを可能にする魔法のプロンプトによって、どうやってあなたが成功を手に入れることができるでしょうか?

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風刺・戯文

秋は馬車馬に乗って

この秋、「ノー・キングス(嘘つきにして独裁者であるトランプのような王様はいらない)」を掲げる大規模な抗議デモが全米各地で行われています。これまでに 600 万人が参加し、「民主主義と自由が脅かされている」と感じている市民の力が結集した結果だ、と主催者は語ります。

日本でもこの抗議運動に呼応する動きが始まっています。今日、東京の高田馬場に市民が集まり、日本の右傾化と外国人排斥に反対するデモ行進が行われました。

参加者のひとりは「このままでは戦前の軍国主義が復活してしまう、そんな危機感に突き動かされて、馬喰町から駆けつけました」と語ります。

アメリカの「ノー・キングス」に倣って、今回のデモでは、参加者たちはみな「ノー馬車」というスローガンを掲げて行進しました。馬込に本部を置く主催団体は「馬車がなくなれば、馬車馬も必要なくなり、結果、馬車馬首相も不要になります」と説明します。

「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」を地でいくこの運動、はたして馬と出るか鹿と出るか、今後が注目されます。

風刺・戯文

ガールズバーに行ってみた

夜が孤独で耐え難くなってきたので、いろいろ考えたあげく、ガールズバーに行ってみることにした。酒を飲みながらカウンター越しに若い女の子と話せば、少しは元気になるかもしれない。

駅前のごちゃごちゃしたところに、そうした店が何軒かあるのは知っていた。足を踏み入れると「Girls’ Bar アリス&パネス」と記されたピンクの看板が目に入ってきた。これだと思ってドアを押し開ける。色とりどりのランプが輝く店内に、若い女性がたくさんいた。

私は思わず興奮して中に入ろうとする。と、前にひとりの女が立ち塞がった。「申し訳ありません。当店は男性の方はご遠慮いただいております……」

「え、ガールズバーじゃないの?」と私。

「そう誤解される方もいらっしゃるのですが」とその女は店名の記されたカードを私に見せた。「このアポストロフィをご覧ください。Girls’ Bar、つまり『女の子たちのバー』というわけでして……申し訳ありませんが、お引き取りください」

店を出された私は、なんとなく収まりがつかなくなった。少し離れたところに別の店があった。「The Girl’s Bar Right You」とある。アポストロフィの位置が気になったが入ってみることにした。

ドアを開けると、厳かな声が響き渡った。「元始、女性は太陽であった。そして今、女の子はバーである。Girl is Bar、Girl’s Bar……バーとなった女の子を崇めよ……」

ドアを閉め、帰宅して、寝た。

散文

ビルマの不運な学生

ビルマ国内では長いあいだ戦争が続いていて、兵力を補充するためにビルマ国軍は、若いビルマ人を捕まえて軍に入れているという。紛争地帯である非ビルマ人地域では、カチン人やシャン人などの市民が、国軍に捕まって、ポーターとして酷使されるというのはずいぶん昔からあったが、最近では都市部でビルマ人を対象にこうしたことが行われているようだ。

そんなわけで、ビルマの若い男性は兵役から逃れるために国外に出ようとする。だが、出国すらできない場合もあると聞く。また、国外に行くチャンスをなんとか掴んだとしても、うまくいかない場合もある。

都内のある日本語学校に進学が決まったビルマ人の話だということだが、日本へのビザも出て、日本語学校が入管に書類を送って手続きを行っている最中に、ビルマ国内で捕まってしまった。

その罪状は、反政府組織に寄付をしたというものだ。反政府組織にも、民主化団体から反政府軍までいろいろあり、どれに寄付をしたのかわからないが、そのどれであれ、ビルマ国内ではときとして大きな危険を招く。

結局この学生は裁判で有罪となり、日本に来ることはできなくなってしまった。別の日本語学校で同じようなケースがあってもおかしくないと思う。

話によると、この不運な学生の「刑期」は 10 年だそうだ。1 週間早く日本に来ていれば、もしかしたら 10 年を無駄にせずに済んだかもしれない。とはいえ、現在の軍事政権が崩壊すれば、その「刑期」はもっともっともっと短くなろう。

風刺・戯文

リベラル密輸事件

人々が東京湾の海上でその怪しい船を拿捕し、その積荷を見たとき、驚き、憤らずにはいられなかった。船倉はリベラルの票でぎっしりだったのだ。

「これは外国勢力によるリベラル票の密輸だ。リベラルどもはこの票を使って選挙に勝ち、日本を外国に売り飛ばそうとしていたのだ」

たちまち警察が関係各所を捜査し、密輸を企てたリベラルどもを一網打尽にして芋づる式に逮捕した。

船から見つかった大量のリベラル票はといえば、倉庫に搬送され、事件の重要な証拠としてまとめて保管されることになった。捜査が進展すると、証拠をさらにしっかり調べるために、捜査員たちにこんな命令が降った。

「密輸事件のリベラル票をすべて持ってくるように」

捜査員たちは倉庫に向かった。倉庫に入り、奥の方へと歩いていくと、プンとイヤな臭いがしてきた。次第に強まりゆくその悪臭の中を歩いていくと、その先に「証拠、リベラル票」と書かれた箱がいくつも積まれていた。腐ったような臭いを発しているのはそれらの箱なのだった。

捜査員たちはあまりの臭さに吐きそうになりながら、その箱を開け、中身を見てびっくりした。

地球温暖化を見くびっていたのだろうか、リベラル票の保存と温度管理が適切でなかったせいで、みんな腐って保守票になっていた。

風刺・戯文

静かな電車

日本に来たとき、びっくりしたことはたくさんありますが、とくに驚いたのは、電車の中が静かだということです。

私の国でも、電車がありますが、乗客たちはみんなうるさいのです。大声でおしゃべりする人もいれば、携帯電話で大声で話している人もいます。なので、日本の電車がとても静かなのが、なんとも不思議でした。

たまに大きな声で話している人がいますが、よく聞いてみると、日本語ではありません。この間など、電車のなかでうるさい人たちがいるかと思ったら、なんと私の国の言葉で話していました。恥ずかしくて思わずうつむいてしまいました。

どうして日本の電車は静かなのでしょうか。日本人がマナーを守るからだと聞いたことがあります。でもそうではないと思います。なぜなら、日本に長く住んでいると、マナーを守らない日本人もけっこういることがわかるからです。

私は、日本の電車が静かなのは、電車のなかでは日本人の声が互いに打ち消し合っているからだと思います。つまり、日本人には相手の声を打ち消すノイズキャンセリング機能が備わっているのです。

そればかりか、日本人は相手の存在をも打ち消すことのできる機能も備えているようです。そうでなければ、あんなひどい満員電車に乗れるわけがありません。日本人の目から見ればきっとガラ空きなのでしょう。

ガラパゴス諸島さながらに、独自の進化を遂げた日本人の生態は、まさに驚異のひとことです。

風刺・戯文

新たなプラン

私は今、2 つの動画配信サービスに加入している。とはいえ、最近はあまり見る時間がない。また、見る時間があっても、数ある映画やドラマの中からどれを見ようか迷ったり検索したりしているうちに、ドラマ 1 本分の時間が過ぎ去ってしまう。

この現象は、私ばかりでなく、多くの人が経験しているようだ。その原因のひとつとしてよくいわれているのは、作品が多すぎる、ということだ。選択肢が多すぎるとかえって決められないというのは、動画選びに限らずよくある話だ。

もうひとつの原因についてもすでに指摘されている。それは、映画なりドラマを見るのは実際には体力がいる、というものだ。要するに「気持ちは見たくても、体がついていかない」ので結局、動画配信サイトのホーム画面をスクロールするだけで、終わってしまうのだ。

そこで、私は考えるのだが、動画配信サービスには、ファミリープランや、画質のいいプラン、広告つきの安価なプランなどいろいろなプランがあるが、いっそのこと、ホーム画面だけが見られるというプランも作ったらどうだろうか。

もちろん、映画やドラマは見られない。だが、動画を見ない人にとってはこれ以上にコスパがよくて、うれしいプランはないと思う。

風刺・戯文

ブラックホール与党

今日、国立宇宙理論研究機構が発表したところによりますと、与党がブラックホール化する可能性が高まっているとのことです。

そのきっかけとなったのが、連立の崩壊。これにより、そもそも少数与党だったのが、超少数与党となり、きわめて不安定な状態になった、といいます。

報告では、理論上、今後2つのシナリオが考えられるそうです。ひとつは解散総選挙や新たな連立により安定を取り戻し、再び膨張に転ずるというものです。もうひとつは、不安定な状態が権力崩壊を引き起こし、収縮が始まる場合です。いったん収縮が始まると、もはや押しとどめることはできず、やがて与党はシュバルツシルト面(事象の地平面)よりも小さく圧縮され、ブラックホール化します。

与党がブラックホールとなると、あらゆる物質、光線、情報、裏金問題、汚職、賄賂、スクープ記事などがその中心に引き込まれ、表に出ることはできなくなります。また、ブラックホールは非常に強い重力をもつため、この重量によって、広い範囲にわたり歴史の歪みが発生すると、研究者は予想しています。

風刺・戯文

内戦に転化せよ

【ザンゲー通信社:社説】
ますます先行き不透明になっていくこの国際社会において、もっとも重要なのは同盟関係、とくにアメリカとの関係である。

現在のアメリカはトランプ大統領という強力な指導者をいただいており、日本政府は、日米同盟を維持するために、あらゆる手を尽くしてトランプ大統領に媚びへつらい、おもねる必要がある。

そのために、日本政府は、媚びへつらいの印として、トランプ大統領が欲しいもの、とくにトランプ大統領が欲しくても手に入れることができないものを差し出すべきである。

それはいったいなんだろうか? ひとことで言えば、内戦である。日本で内戦を起こすのである。

どういうことかというと、まず日本国内で政府と反政府組織とが交戦を始め、内戦を激化させる。そして、国民の多数が犠牲者となり、こう着状態に陥ったそのときに、トランプ大統領に和平の調停をお願いするのだ。もちろん、和平は成立し、その結果、トランプ大統領はもっとも欲しいもの、つまりノーベル平和賞を手に入れることになる。

トランプ大統領は我が国に対する恩を決して忘れないことだろうし、内戦で死んだ国民の霊も浮かばれることだろう。

もちろん、このような内戦を起こすのは簡単なことではない。だが、さいわいにも、今、日本はそれが唯一可能な方を首相として戴こうとしている。我が国の将来を見据えた「媚びへつらいを内戦に転化する」政治の実現のために、野党は妨害工作を慎むべきである。