風刺・戯文

マスク・ショック

今日から私はマスクなしで外に出ることにした。もうマスク生活とはおさらばだ。

商店街を堂々と歩く。人々はまだマスクをつけている。同調圧力とはなんと哀しいものではないか。

私はふと視線を感じた。目をやると、マスクをつけた男が険しい顔で私を見つめている。さてはマスク警察か? だが、よく見るとそれはショーウィンドーに映った私だった。いつのまにマスクを! 私はマスクを外すと再び歩き出した。

眼鏡屋に入った。似合いそうなメガネを選びだし、試着して鏡を覗き込んだ。ああ! またマスクをしているではないか! 私はマスクを慌てて外し、再び鏡を見た。だが、まだマスクが鼻と口を覆っている!

「ああ、ああ!」 私はマスクを剥ぎ取った。するとその下に新たなマスクが現れた。取っても取っても際限なくマスクが現れた。

「おおおお」 私の足元はたちまちマスクだらけになった。狂ったようにマスクを外し続ける私は、やがてへたり込んだ。店員が駆け寄ってきた。「お客様、どうされました?」

私は我に帰る。見回すとマスクなどない。どこにもない。「いえ、ちょっと……大丈夫です」と私は立ち上がり、店を去った。

どうやら、長いマスク生活から急にマスクなしに変えたため、ショック状態に陥ったものらしい。急性マスク障害だという。ひどい場合には、混乱して顔中をかきむしり、血まみれになることもある。

人々がマスクをつけていたのは、同調圧力などではなく、急性マスク障害の予防のためであった。私も今では少しずつ体を慣らす毎日で、いつかマスクなしで暮らせる日を夢見ている。

風刺・戯文

マスクの卒業式

卒業式では「マスクを外すことを基本」とする通知を文部科学省が出したこの春、全国各地の学校で卒業式が行われ、晴れやかな顔の卒業生たちが集いました。

3年間の新型コロナウイルス禍を乗り越えた卒業生たちは、式典で名前を一人ずつ呼ばれると、誇らしげに立ち上がり、高らかに返事をします。

校長先生が式辞で「みなさんがこの3年間の間に経験したことを糧にして、次の一歩を踏み出してほしい」と語りかけると、みな、大きくうなずきました。

卒業生を代表し、不織布マスクさんが「大変な時期でしたが、人々の笑顔を間近に見て過ごすことのできたこの3年間は何物にも代えがたい宝物です」と答辞を述べました。

卒業生の一人、ウレタンマスクさんは「奪い合われたり、心ない言葉をかけられたこともあったけど、最後にみんながひとつになれた」と喜びを語ります。

来賓として登壇したアベノマスク議員は「倉庫で長いこと眠っていたので事情が飲み込めないが、とにかくがんばれ」と応援のメッセージを送りました。

風刺・戯文

星のおじさん構文

ヤッホー😀\(^ω^)/🎉🎉🎉
地球のミンナ、今日も1日お疲れ〜❗❗😚
もう、寝ちゃった🛏カナ、それともお風呂🚿カナ😆💕
おじさんは、今、地球🌎にやってきたとこ🌟🛸🛸🛸🌟\(^o^)/
ワレワレハ宇宙人👽👽だゾ💦ナンチャッテ(⌒-⌒; )
人間チャンは、ナニ食べた🍖のカナ❓
疲れてるときは、ちゃんとご飯🍜🥩🍔食べてネ😍💕
おじさん👽の夕食は、人間ダヨ(笑)❗
👦👧👩🧑👩‍🦳👶👷‍♀️ どれ食べようかナ〜〜❓❓❓
特に大好きな部分、教えてあげるネ🤤
💗💖💕💖💗💖💗💗💗💕💕💕 ダヨ❗
人間ひとりにつき、ひとつしか取れない希少部位❗❗(^o^)/🎉🎉
こんなに食べたら、太っちゃうかナ。。。😱💦😰
早く会いたいヨ😍😍😍


各国政府🇺🇸🇷🇺🇨🇳🇬🇧🇫🇷🇮🇳🇯🇵🇰🇷のミンナ❗❗
🪖🪖🔫🔫抵抗💣💣✈️✈️しても無駄❌だネ❗❗
抵抗したら💢💢💢( *`ω´) ( *`ω´) 💢💢💢 
ナンチャッテ(^^;)
けど無条件降伏🙇🙇m(_ _)m🙇🙇しかないヨ🤣🤣🤣🤣
連絡📞待ってるネ😘❗❗❗
(๑>◡<๑)イェーイ❗❗❗٩( ᐛ )و❗❗
オヤスミナサイ❣️😪
バイバイ👋(^^)/~~~

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天狗の主張

私たち天狗は、人跡まれな山の奥深いところに暮らすものですが、そのせいか皆さんの間には、私たちに関する間違った知識が流布しているように見受けられます。

その大いなるものを挙げますと、私たちの「鼻」についての誤解です。皆さんは、天狗と聞きますと、いわゆる「長い鼻」を想起されるのではないかと思いますが、これは実は鼻ではないのです。

ちょっとご覧ください(と、Zoom で画面共有)。皆さんが「鼻」と呼んでいるものはこれですが、その付け根にご注目ください。これです。小さな盛り上がりがあるでしょう。これが本当の鼻なのです。鼻孔もちゃんとあります。

それでは、皆さんが「鼻」と呼んでいる部分は何なのでしょうか。これは実はメロン体という脂肪組織なのです。

メロン体と言いますと、イルカの頭部にある感覚器官で、音波によってエコローケーションを行うものです。私たちの「鼻」もこれと同じ機能を果たしておりまして、山奥の暗がりを飛び回る時などに、もっとも有用なのであります。

なお、このメロン体、イルカなどの額にあることからも想像できますように、実際は額の下部が発達したものだと、近年、判明いたしました。名実ともに鼻ではないということがご理解いただけたでしょうか。

それともうひとつ、皆さんの誤解を解いておきたいのですが、私たち天狗のこのメロン体は、年を重ね、経験を積むごとに長く伸びてまいります。つまり、長く立派なメロン体を所持しているということは、尊敬に値する人格者であることの証なのであります。

そのようなわけで、鼻高々なる人物を評するに「天狗になった」などと皆さんが言われるのは、私たちにとって大変心外であり、悔しさのあまり涙するものもいるほどなのです。

なにしろ私たちは「伸びるほど、こうべを垂れる天狗かな」と諺に言うほどなのです……、ちょうど法螺貝が鳴りましたので、このあたりでお話は終わりにさせていただきます。

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MOTTAINAI

私たちの住んでいる市の中学校で、生徒が自殺した。原因はいじめだ。この悲痛なできごとをきっかけに、市民のあいだで市の教育のあり方を問い直す動きが生まれた。その結果、市長は深く謝罪するとともに、生徒の死を無駄にしないと誓い、「いじめ防止基本方針」を策定した。

また、私たちの市には魔の交差点といわれる場所がある。かねてから事故の多発する場所で、住民は長いこと市に対策を求めていた。市の反応は鈍いものであったが、先月、この交差点で児童の列にダンプが突っ込み、7人の犠牲者がでるという大惨事が起きた。ことここに及んで、ついに市は対策に乗り出した。市長は深く責任を痛感すると語り、こどもたちの死を無駄にしないためにも、市内全域の通学路の安全性を見直し、問題があればすぐに対策を講じると約束した。

コロナ禍による医療崩壊という出来事もあった。市の対応が不十分かつ適切であったため、多くの高齢者が亡くなったのだ。市長は直ちに記者会見を開いた。会見では、医療体制の充実を図ることで、高齢者たちの死を無駄にしない、と目頭を押さえながら陳謝した。

私たちは、次に死を無駄にされないのは自分ではないかと、もう戦々恐々なのだ。

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猿とそのプロジェクト

X大学の霊長類研究センターは、国内唯一の霊長類(サル、チンパンジー)の総合的研究拠点である。その研究は、霊長類の進化、ゲノム、社会生態、思考、言語、認知学習、脳機能など多岐にわたり、日本のみならず、世界の研究をリードしてきた。

特に名高いのは、メスのチンパンジー、メイをめぐる研究である。研究所の推進するプロジェクトにおいてメイは、文字や数の学習を始め、高い知能があることを示した。さら、認知行動能力も高く、絵を描き、ブロックを組み合わせる様子は、メディアを通じて広く知られている。しかし、世界の研究者をもっとも驚かせたのは、メイが、人間とコミュニケーションを取るという高度な社会的能力を持っていることであった。

こうした輝かしい成果を誇る霊長類研究センターであったが、メイに関する研究プロジェクトの主導者にして、センター長を務める世界的な学者、Z教授による数億円に上る研究費の不正使用が発覚し、その名声は地に落ちた。X大学はただちに調査を行い、報告書を公表するとともに、Z教授を懲戒解雇処分とした。Z教授は声明を発表し、すべての疑惑を否定するとともに、今回の事件には「裏」があることをほのめかした。しかし、大学はこの声明を黙殺し、研究センターを解散し、「人類研究センター」とする組織改編を発表した。

そして、先日、センター長にメイが就任することが明らかになった。

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ソーシャル・ディスタンス

コロナウイルスのまん延とともに、ソーシャル・ディスタンスという言葉も定着した。

このソーシャル・ディスタンスは「社会的距離」、ソーシャル・ディスタンシングは「社会距離拡大戦略」と訳される。だが、我々の社会においては、あらゆるものが社会的なのだから、社会的でない距離などないのではないだろうか。それをどうしてわざわざソーシャルというのか。私はこの言葉を聞くたびに、ばかばかしく思っていた。

この秋、私はだれ訪うことのない険しい山奥を一人さまよい、一夜を過ごした。野営に定めた場所をぶらついていると、2本の立派な樹が離れて立っているのに気がついた。まるで鳥居のように見え、私は感心して眺めた。そして、こんなふうに考えた。その2本の樹の間の距離に「鳥居」という意味を与えたのは私であって、私によってその距離は始めて(おそらく有史以来始めて)社会的意味を与えられたのである。すなわち、私がこれらの樹を見る以前は、その間の距離は社会的なものでも何でもなかったのだ。

「ほれみろ」と私はつぶやいた。「ソーシャルでない距離など山奥にしかありはしないのだ」

私はふとその「鳥居」をくぐりたくなった。近づいていくと、2本の木の中間に小さな立て看板があるのが目に入った。それには筆でこんなふうに書かれていた。

「ソーシャル・ディスタンスの木」

看板の端にはマンガ風のカブトムシが描かれ「蜜に注意!」と呼びかけていた。

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侵略

どうも、こんにちは。

まずは自己紹介をさせていただきますね。私はプロのプログラマーで、自由時間ではハッキングを専門にしております。

今回残念なことに、貴方の星は私の次の被害者となり、貴方の星のオペレーティングシステムとデバイスに私はハッキングいたしました。

数ヶ月間、貴方の星を観察してきました。

端的に申し上げますと、貴方の星がありとあらゆる破壊に夢中になっている間に、貴方の星のデバイスが私のウイルスに感染したのです。有機的・無機的を問わず、貴方の星のあらゆるデバイスへのフルアクセスとコントロールを私は獲得しています。

近頃、貴方の星が殺戮の大ファンで「戦闘動画」鑑賞を楽しんでいることを知りました。

意味はお分かりですよね……貴方の星が勢いよくミサイルを発射するいくつかのクリップを編集して、マスター・オペレーション中に閲覧していらっしゃった動画を組み合わせることにしました。

画面の左側では貴方の星がご自分を楽しませている様子、そして右側ではその時に遂行されていた作戦を表示するようなビデオクリップを作成いたしました。

数回マウスをクリックするだけで、とても簡単にこの興味深いビデオを太陽系どころか、銀河中に送信したり、インタギャラクティック・ウェブ上に単に投稿できたりすることはもうお分かりでしょう。

朗報は、まだ抑止することができることです。ただ 1,800,000 光年相当の量子コインを私の量子ウォレットに送金いただくだけで……

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雨ゾン

ついさっきまで晴れていたのに、急に激しい雨が降り出した。

自分にはどれだけの時間が残されているだろうか。今、この手記を書きながら、私は思う。

なぜなら、この豪雨はやつらからの警告だからだ。やつらは、こうして雨を降らせて、傘を持つことを拒絶した私を脅かしているのだ。

彼らは私を決して許そうとはしないだろう。私の勇気ある告発によって、傘を通じて人類を支配しようとしている恐るべき秘密結社の存在がついに暴かれたのだから。

連中は、今、私を押しつぶそうとしている。秘密結社の権力を傘に着てだ。

連中は私に危害を加えようとしている。傘ばる物を投げつけてだ。

だが、私は屈しない。私たちの世界を邪悪な存在に奪われてはならない。

インターホンが鳴った。誰だ、こんなときに……やつらか、それとも……。私は息を潜める。

再びインターホンが鳴った! 私は意を決する。立ち上がるのだ、玄関に向かうのだ。よしんばそこに邪悪な存在が待ち受けていようとも……。

悪に抗うことはできても、運命には抗えぬ。

私は扉を開けるだろう。そして、命尽きるまで

(奇怪な手記はここで終わっている。玄関には Amazon の空箱が置かれており、中にレインコートの納品書が残されていた……)