苦い文学

ベルベル語の調査とその後(2)

つらいことの第一は、場所だ。言語調査は、音声を聞き取ったり、録音したりしなくてはならないから、静かで、落ち着いた場所でやるのがいちばんだ。会議室とか、研究室とか、贅沢を言わせてもらえば、海の見えるホテルの一室とか……。

私の場合は、初顔合わせをしたあのカフェが調査場所となった。これは決して悪くない。以前、外の石段に座って調査したのに比べれば、ずっとマシだ。カフェだから、コーヒーも水も飲める。それに、調査用紙が突風に吹き飛ばされないようにクリップでしっかり挟んでおく必要もない。

とはいえ、カフェはカフェだ。壁掛けのテレビはいつもつけっぱなしだ。私はカフェを隅から隅まで調べ、音が届かない死角の席を見つけ、そこを使うことにした。もっとも、先客がいて、テレビの真下の席にせざるをえない日もあった。カフェは午後になると、放課後の高校生がグループでやってきた。離れた席から楽しげな笑い声が聞こえてきて、録音レベルと私の心を乱した。

だが、これが別のカフェだったら、スピーカーから爆音が流れ、いかつい男たちが大声で話している。ジョークに笑いこけながら、互いに手をバチーンと打ち鳴らしている。それに比べれば、このカフェは調査向きだ。日を追うに連れ、S さんとのやりとりもしっくりしてきた。

だが、調査 4 日目、私たちはこのカフェから閉め出された。

(写真:カフェの中)