苦い文学

ベルベル語の調査とその後(1)

私の本格的なベルベル語の調査は、2025 年 2 月 25 日のお昼から始まった。調査といっても S さんに言葉について質問するだけだ。しかも、最初は録音だけしてノートすら取らなかった。後で音声起こしをしようと考えていたのだった。

しかし、みかねた S さんがアラビア文字で書いてくれるようになった。それで私もアラビア文字でノートを取ることに決めた。

どんなことを聞くかというと、「私」、「頭」、「ニワトリ」、「食べる」、「飲む」などの基本的な語彙や、動詞の活用、「昨日、雨が降った」とか「庭に二羽ニワトリがいる」とかの簡単な文だ。「明日、雨が降るだろう」とか「ニワトリはいなかった」とかも調べる。

調査は、2 月 25 日から、帰国日の 3 月 7 日まで続いた。ただし、途中で 2 日休んだので、実際には全部で 9 日だ。1 日は S さんの都合、もう 1 日は帰国前日の 3 月 6 日で、これは私の都合だった。調査は 1 日 3 〜 4 時間で、終わるとホテルに戻って、録音を聞き直しながらひたすら書き起こす作業になる。

この 9 日間は、ベルベル語を調べる楽しみと興奮に満ちていた。だが、そのいっぽう、つらく切ないこともあった。3 月 6 日に休まなきゃいけなかったのだって、ちょっとした事件があったせいだ。

(写真:チュニスのメディーナの風景)