旅・観察

ベルベル語への旅(2)

3 月 22 日の朝、私はチュニスからガベスに行く列車に乗った。遅れがあったり、途中で別の列車に移らされたりで、8 時間以上かかったと思う。

この列車の旅は、3 つの点で大変だった。ひとつは指定席を買ったのに、その席に人が座っていて、いくら言っても知らんぷりされたこと。しかし、1 時間ほどすると車掌が検札にきて、座らせてくれた。2 つめはトイレが汚くて使えなかったこと。そして、3 つめはラマダーン中だったことだ。

ラマダーンのあいだ、日中は食事ができない。私のような外国人は断食しなくてもいいが、大っぴらに飲み食いするのは気が引ける。そんなわけで列車の中では最低限の水しか飲まなかったが、そのおかげでトイレに行かずに頑張ることができた。

しかし、ガベスに着き、ホテルにチェックインしたときにはもうクタクタだった。朝から考えると、14 時間、ほとんど飲まず食わず、トイレにも行かずに過ごしたことになる。ホテルの一室で、隠れるようにポテトチップスを貪り食っていると、電話がかかってきた。チュニスの友人が紹介してくれた人がやってきたのだ。

ホテルのロビーに降りると、キャップとサングラスの男性が立っていた。

「ベルベル語について調べたいんだってな」と彼は英語で言って、手を差し出した。「さあ、我々のアドベンチャーの始まりだ」

大袈裟な言葉のように思えたが、旅を終えてみると、まさしくそうだった。もっとも、危険なことなどなにひとつなかったが。

(写真:ガベスに向かう列車の中)

旅・観察

古いほうの収容ウイルス、長崎入管訪問(その5)

 仮放免の手続きは、大体どこの入管でも2〜3時間かかる。だから、だいたい朝の9時に手続きを開始するようにいわれる。そうすると昼前には終わるのだ。

 9時に大村入国管理センターに確実に着いているためには、当日早朝出るよりも、前乗りしておいたほうが安心だ。ということで行きは25日の朝に成田を出る便、帰りは26日の17時に長崎空港を出る便を予約した。

 保証金の40万円を受け取ったのが、出発前日の24日のこと。中サイズのスーツケースも渡された。これは何のためかというと、長い収容生活を支えた服や本などの私物を詰め込むためのものだ。スーツケースの中には大きなバッグも入れられてあった。

 仮放免されるときに、こうしたバッグがないと、ゴミ袋を抱えて出てくる羽目になる。うっかり置き忘れでもしたら、捨てられること間違いなしだ。いや、見た感じ、ろくなものは入ってやしない。新品らきしものは一切ない。だが、これらが、長期の収容が被収容者を洗い流したのちに残った全財産ということもあるのだ。

 さて、スーツケースの中には、ビルマのお菓子も入っていた。これは私に、というわけで、ありがたくいただいた。(つづく)