風刺・戯文

暴動と略奪

フランス全土で抗議デモが行われている。これは高校生による教育環境の改善要求に端を発し、物価高や政府への不満を巻き込んで全国規模に拡大したものだ。

今回のデモについては、日本ではもっぱらデモに乗じて発生した暴動が関心を集めているようだ。警察との衝突、高級店への侵入、略奪、放火が連日報道されている。

私は今回のデモについてはとくに意見はない。それぞれの国にはそれぞれの事情がある。しかし、ニュースサイトに掲載されているフランスのデモ関係の記事を読んでいると、そこについている日本人たちの熱心なコメントが気になってきた。たとえばこんな感じだ。

「これは移民の問題だ。日本の移民政策は正しい」
「移民のせいで、香り高きパリの文化が乗っ取られた」
「フランスに滞在したときに行ったことがあるが、素晴らしかった。どうかルーブルが守られますように。」
「フランスとは違って日本にはデモの文化はないから、暴動など起きない」
「海外はどうしてデモはいつも暴動になるのだろうか。日本の文化では暴動も略奪もありえないだろう」
「外国人は自己主張が激しいからこんなことになる」

どうやら日本では、フランスでの暴動に乗じて優越感の略奪が行われている模様だ。

風刺・戯文

透明な政治

アメリカ・ニューヨークを訪問し、トランプ米大統領との首脳会談や国連総会での一般討論演説に臨んだ高市早苗首相。そんな首相に今、世界中から注目が寄せられています。

「ワォ! 日本人はいつも常識の先をいく!」

「もう日本を信じてついていくしかないわね!」

その理由は、高市首相がアメリカで披露した最先端科学技術にありました。その技術とは?

(首脳たちのなかに入る高市首相。するとその瞬間、姿が消える)

透明人間化です。SFの中ばかりだと思われていたこの技術を日本が世界に先駆けて実現しました。

外交関係者「名だたる国家首脳の面前や演説の場で、首相が透明人間になったのは非常に大きな外交成果だと思います。(がらんとした演説会場が映し出される)アメリカには同盟国としての絆、そして中国には脅威として受け取られたに違いありません」

ではこの技術はどのように実現したのでしょうか。

専門家「非常に難しい技術です。簡単にいえば、全身の細胞の向きを右向きにすることで屈折率を均一化し、散乱を減らすのです」

記者「透明化による問題はないのでしょうか」

専門家「大きな問題があります。透明化すると眼球も透明となるため、国民の暮らしが見えなくなってしまうのです。ですが、技術的な進歩により、日の丸だけは見えるようになったということです」

アメリカから帰国した高市首相、来月召集の臨時国会では透明人間化による議員定数削減法案の実現に期待が寄せられています。

風刺・戯文

四季を探しに

世界で唯一四季のある国、ニッポン。今、その四季が危ないのをご存知でしょうか。

(大学教授)「地球温暖化により、今後日本は夏だけになっていくと考えられます」

そんななか、先月、猛暑が続く東京でこんな集会が開かれました。

「吉田くん! ばんざーい!」「がんばれ!」「頼んだぞ!」

熱烈な歓声を浴びるのは、一人の男性。「日本の四季を取り戻す会」のメンバーたちがこの吉田さんの壮行会を開催中です。

会長「ええ、私たちとしても吉田さんのような方を送り出せるのはたいへんうれしい」

(記者:目的はなんでしょうか)会長「私たちが行なっているのは、四季がなくなろうとしているこの日本で、秋冬春を見つけ出し、保護する活動です。吉田さんはこれから日本全国を旅し、各地に残された秋冬春の保護にあたります」

会長が吉田さんに200万円を手渡します。「旅費と四季保護活動費としてまずお渡しします」 吉田さん、感謝とともに受け取ります。「四季の消滅を食い止めるという大任に身の引き締まる思いです。皆さんが集めてくださったこのお金、絶対に無駄にはいたしません」

「吉田さんの保護活動が順調にいけば、早ければこの夏にも都内に秋風が吹くかもしれません」と期待を語る会長さん、しかし、その数週間後……なんと、吉田さんからの連絡が途絶えました。

会長「信じていたのに裏切られた思いです」

会によれば、沖縄のビーチで日光浴していたという目撃情報を最後に、吉田さんの足取りは杳として知れないとのことです。