旅・観察

チュニジアのベルベル語(2)

チュニジアのベルベル語話者数は正確には不明だ。人口の 1 %にあたる 12 万人とする説もあるが、新しい研究では、その半分ぐらいだとされている。6 万人としても少ないが、もうひとつ重要なのは、チュニジアのベルベル語は、ひとつの言語ではないということだ。いくつもの変種があるため、個々の話者数はもっと少なくなる。

チュニジアのベルベル語は、南部のいくつかの小地域にのみ残っている。だいたい以下の 4 つの地域に分けられる。ガフサ、ガベス、タターウィーンはいずれも南部の都市で、ジェルバ島は有名な観光地だ。

(a) ガフサ東部(トゥマーグルト、セネッドの 2 つの村)
(b) ガベス西部のマトマータ(ズラーワ、ターウジュート、タマズラットの 3 つの村)
(c) タターウィーン(シュニンニー、ドゥウィーラートの 2 つの村)
(d) ジェルバ島(6 つの村)

このうち (a) のベルベル語はすでに消滅してしまったといわれている。もっとも、私自身で確かめたわけではないので、断言はできない。いずれにしろ、現在、ベルベル語が使われているのは (b) 〜 (d) ということになる。(c) のタターウィーンのベルベル語話者は、先行研究を見るかぎり、数百人規模のようだ。私自身、2024 年の 2 月、現地の友人とシュニンニーとドゥウィーラートを旅したとき、ひとりのベルベル語話者に出会ったことがある。

(写真はシュニンニー・ドゥウィーラート間の風景。2024 年 2 月撮影)

苦い文学

さとうもか@LIQUIDROOM

さとうもかのライブに行ってきた。

1 月から始まった弾き語りの全国ツアーの最後ということだが、今日は岡山時代からの友人のバンド、スピーチバルーンがサポートする「バンドセット」でのライブだった。

昨年の 11 月にもやはりバンドセットでライブをしていて、私はその時にも行っているが、ずいぶん演奏が軽やかで、ダイナミックになったように感じた。こういう音を出すのか、と感心する瞬間もあった。これはもちろん、私が二度目ということもあるかもしれないが、楽しめた。

セットリストは 11 月のように新譜「ERA」からの曲もあったが、私としては、2020 年のアルバム「GLINTS」からの曲(特に「GLINTS」「オレンジ」「愛ゆえに」)が、コロナの不安なときに繰り返し聞いていただけに、とくに感慨深かった。

「失恋」がテーマの曲が多いさとうもかだが、そのような曲のひとつである「Dear Stranger」(「ERA」収録)の前に、「失恋している人!」と客に呼びかけた。

何人か手が挙がったようだが、私は自分がそうではないのを残念に思った。恋愛に興味はないのだが、それでも失恋は可能だろうか、と考え、答えが出ないうちに、曲が終わってしまった。大きな宿題をいただいたというべきであろう。

苦い文学

違いのわかる男たち

「トコトン取材班のみなさん、こんにちは。いつも楽しく拝見させてもらっています。いきなりですが、違いのわかる男たちって今どうしているんでしょう? 昔は違いのわかる男たちがコーヒーのCMによく出ていたものですが、いまはまったく見かけません。どこに行ってしまったのか、調べてください。おねがいします!」

いましたねえ! 違いのわかる男、僕もよく見ましたよ。さっそくトコトン取材班で探してみたら、かつて違いのわかる男だったという人々が暮らす施設を田端で発見しました。その施設に取材に行った様子、VTRでご覧ください。

(ビデオ映像が始まる。ボロ屋が映し出される。内部のガランとした広間に十人ほどのみすぼらしい格好の男性たちがいる。みな無精髭で、あちこちに唾を吐いたり、汚い声で罵り合ったりしている)

(取材班のレポート)「ひどく下品です。あのころの素敵な感じ、ダンディな雰囲気はありません」

(取材班、男性のひとりにめんつゆの入ったマグカップを渡す。男は「コーヒーなんて久しぶりだ」などと言いながら飲み干す)

(取材班のレポート)「なんと、もはや違いがわからなくなっているようです。この方たちはもう違いがわかる男たちではなくなってしまった、ということなのでしょうか」

(そのとき、広間の端に設置されたテレビがつき、出演者の女性タレントの顔がテレビに映し出される。すると男たちはテレビに目を向け口々にいう)

「顔が違う」「イジってる?」「お直ししたな」……

(しばらくすると、今度は、テレビに女優の顔が大写しになる。男たちは興奮して騒ぎ出す)

「あれ、顔変わった?」「50歳にしては皺がない」「前の方が良かった」「整形だ!」……

(男たちますます食い入るようにテレビの画面を見てわめいている)

(取材班のレポート)「なんとも凄まじい光景です。が、女性を見るとすぐに整形のことを詮索しだすのが、かつての『違いのわかる男』の名残りなのでしょうか。それはともあれ、これらかつての『違いのわかる男』たちは、昔と今の時代の違いには、まだ気づいていないもようです……」

以上、トコトン取材班でした! さようなら!

苦い文学

ゾンビたち

彼の住む地域でゾンビが人々を襲いはじめた。

ニュースで報じられたときは、遠くの場所の話だったが、次のニュースではもっと近くなり、その次のニュースではもっともっと近くなった。そして、その次のニュースはなかった。

彼の村は山奥にあった。村人たちは、こんなところまでゾンビは来るまいとたかをくくっていた。だが、彼は自分の家に要塞のような固い防御を施した。

そして、ある朝、ゾンビの群れが山を越えて村に侵入してきた。ゾンビは村人たちに襲いかかり、次々とゾンビに変えていった。

彼は襲撃を目にすると家の中に駆け込み、中から鍵をかけた。家の外の様子をモニターで監視していると、ゾンビたちが家に続々と集まってくるのが見えた。

ソンビたちは扉をこじ開けようとした。それが無理だとわかると、壁という壁にぶつかり、破壊しようとした。そのころには、無数のゾンビが家を取り巻いていた。そして、一斉に彼の家を潰しにかかった。

凄まじい音が幾度も鳴り響き、木材が音を立てて破裂した。そして、家は崩れ去り、彼をゾンビが取り囲んだ。

「寄り添わしてください……」「絆をもっと強く……」

彼もまたゾンビとなり、人に寄り添い、人と人との絆を強めるべく人々を襲い始めた。

苦い文学

「愛国心」の産地偽装に注意!

ロシアがウクライナに侵攻して以後、軍事力に勝るロシア軍に対して、ウクライナはゼレンスキー大統領のもと粘り強く抵抗を続けております。

これというのも「ゼレンスキー印のウクライナ産愛国心」の良質さによるものであり、我が国でも、さっそくこの愛国心の輸入をする業者が現れました。メディアでの報道も相まって、今や誰もが「ゼレンスキー印の愛国心」を争って買い求め、幸運な所有者は我がちに誇示するありさまです。

だが、消費者として注意をしたいのは、産地偽装品の多さです。実に国内を流通しているゼレンスキー印の愛国心の9割が偽物だという衝撃的な事実が、民間の調査団体によって明らかになっております。

これらニセモノ愛国心の気になる産地ですが、そのほとんどがロシア産の「プーチン印の愛国心」、中国産の「習近平電脳監視公司の愛国心」だそうです。そればかりじゃありません。「日本会議謹製の愛国心」まで混入しているのだとか。純国産だなんてあきれた話じゃありませんか。

皆様におかれましては、お手元の愛国心の産地を十分ご確認の上、まちがっても「プーチン印の愛国心」などでウクライナの平和を祈願することなきよう、お願い申し上げる次第です。