旅・観察

手で食べる話

昨日に引き続き、Sさんの体験談だ。私が「指」をベルベル語でなんというか尋ねたら、手で食べる習慣についての話になった。

Sさんがモーリタニアに行ったときのことだ。Sさんはある家に招かれて食事をすることになったのだが、その食べ方を見て驚いた。米を手で掬って、ボール状にして食べる、これだけなら普通だが、面白いのはそれからだ。現地の人は、そのボールをそのまま口に運ぶのではなく、手で米をポイと口の中に投げ入れるのだそうだ。

チュニジアの人も手を使って器用に食べるが、Sさんはさすがにこれは真似できず、スプーンが欲しいと伝えると、その人たちは近所中探してスプーンを持ってきてくれたのだという。

この話からの連想で、あるアルジェリア人の逸話についても話してくれた。

あるアルジェリア人がフランスに行ってレストランで食事をした。するとそのレストランにいたフランス人が汚い食べ方だと文句を言った。

これにそのアルジェリア人、平然と言い返した。

「私が手で食べているのは、自分の手がきれいだからだ。あなたたちがフォークやスプーンで食べるのは、あなたたちの手が汚いからではないか」

もしかしたらこのアルジェリア人は、別の意味でもフランス人の手は汚いと言ったのかもしれない。それはさておき、最初の話も、その次の話も、昔のアラブの逸話集にでも出てきそうなエピソードではないか。