風刺・戯文

秋は馬車馬に乗って

この秋、「ノー・キングス(嘘つきにして独裁者であるトランプのような王様はいらない)」を掲げる大規模な抗議デモが全米各地で行われています。これまでに 600 万人が参加し、「民主主義と自由が脅かされている」と感じている市民の力が結集した結果だ、と主催者は語ります。

日本でもこの抗議運動に呼応する動きが始まっています。今日、東京の高田馬場に市民が集まり、日本の右傾化と外国人排斥に反対するデモ行進が行われました。

参加者のひとりは「このままでは戦前の軍国主義が復活してしまう、そんな危機感に突き動かされて、馬喰町から駆けつけました」と語ります。

アメリカの「ノー・キングス」に倣って、今回のデモでは、参加者たちはみな「ノー馬車」というスローガンを掲げて行進しました。馬込に本部を置く主催団体は「馬車がなくなれば、馬車馬も必要なくなり、結果、馬車馬首相も不要になります」と説明します。

「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」を地でいくこの運動、はたして馬と出るか鹿と出るか、今後が注目されます。

風刺・戯文

リベラル密輸事件

人々が東京湾の海上でその怪しい船を拿捕し、その積荷を見たとき、驚き、憤らずにはいられなかった。船倉はリベラルの票でぎっしりだったのだ。

「これは外国勢力によるリベラル票の密輸だ。リベラルどもはこの票を使って選挙に勝ち、日本を外国に売り飛ばそうとしていたのだ」

たちまち警察が関係各所を捜査し、密輸を企てたリベラルどもを一網打尽にして芋づる式に逮捕した。

船から見つかった大量のリベラル票はといえば、倉庫に搬送され、事件の重要な証拠としてまとめて保管されることになった。捜査が進展すると、証拠をさらにしっかり調べるために、捜査員たちにこんな命令が降った。

「密輸事件のリベラル票をすべて持ってくるように」

捜査員たちは倉庫に向かった。倉庫に入り、奥の方へと歩いていくと、プンとイヤな臭いがしてきた。次第に強まりゆくその悪臭の中を歩いていくと、その先に「証拠、リベラル票」と書かれた箱がいくつも積まれていた。腐ったような臭いを発しているのはそれらの箱なのだった。

捜査員たちはあまりの臭さに吐きそうになりながら、その箱を開け、中身を見てびっくりした。

地球温暖化を見くびっていたのだろうか、リベラル票の保存と温度管理が適切でなかったせいで、みんな腐って保守票になっていた。

風刺・戯文

ブラックホール与党

今日、国立宇宙理論研究機構が発表したところによりますと、与党がブラックホール化する可能性が高まっているとのことです。

そのきっかけとなったのが、連立の崩壊。これにより、そもそも少数与党だったのが、超少数与党となり、きわめて不安定な状態になった、といいます。

報告では、理論上、今後2つのシナリオが考えられるそうです。ひとつは解散総選挙や新たな連立により安定を取り戻し、再び膨張に転ずるというものです。もうひとつは、不安定な状態が権力崩壊を引き起こし、収縮が始まる場合です。いったん収縮が始まると、もはや押しとどめることはできず、やがて与党はシュバルツシルト面(事象の地平面)よりも小さく圧縮され、ブラックホール化します。

与党がブラックホールとなると、あらゆる物質、光線、情報、裏金問題、汚職、賄賂、スクープ記事などがその中心に引き込まれ、表に出ることはできなくなります。また、ブラックホールは非常に強い重力をもつため、この重量によって、広い範囲にわたり歴史の歪みが発生すると、研究者は予想しています。

風刺・戯文

内戦に転化せよ

【ザンゲー通信社:社説】
ますます先行き不透明になっていくこの国際社会において、もっとも重要なのは同盟関係、とくにアメリカとの関係である。

現在のアメリカはトランプ大統領という強力な指導者をいただいており、日本政府は、日米同盟を維持するために、あらゆる手を尽くしてトランプ大統領に媚びへつらい、おもねる必要がある。

そのために、日本政府は、媚びへつらいの印として、トランプ大統領が欲しいもの、とくにトランプ大統領が欲しくても手に入れることができないものを差し出すべきである。

それはいったいなんだろうか? ひとことで言えば、内戦である。日本で内戦を起こすのである。

どういうことかというと、まず日本国内で政府と反政府組織とが交戦を始め、内戦を激化させる。そして、国民の多数が犠牲者となり、こう着状態に陥ったそのときに、トランプ大統領に和平の調停をお願いするのだ。もちろん、和平は成立し、その結果、トランプ大統領はもっとも欲しいもの、つまりノーベル平和賞を手に入れることになる。

トランプ大統領は我が国に対する恩を決して忘れないことだろうし、内戦で死んだ国民の霊も浮かばれることだろう。

もちろん、このような内戦を起こすのは簡単なことではない。だが、さいわいにも、今、日本はそれが唯一可能な方を首相として戴こうとしている。我が国の将来を見据えた「媚びへつらいを内戦に転化する」政治の実現のために、野党は妨害工作を慎むべきである。

風刺・戯文

太いパイプ

自公連立の解消という衝撃が走った昨日から一夜明け、高市自民党総裁の女性初の首相就任が必ずしも確実とはいえない状況になってきました。

「今回の公明の離脱は、高市さんが公明党との太いパイプを持っていなかったためだ」と語る自民関係者。また自民党幹部も「高市さんが今後、首相になるためには、野党との協力を取り付ける必要がある。そのために高市さんは、野党との太いパイプを積極的に構築すべきだ」と注文をつけます。

そんななか、今日、自民党本部前に熱烈な高市支持者が集まり、手に手にパイプを持って高市首相誕生を呼びかけました。

集会の主催者「太いパイプがないという高市さんに対する批判にいてもたってもいられず、今日の集会を企画しました。私がもってきたのは呼び径 200 の硬質塩化ビニル管です」

別の参加者「それじゃだめですよ。私は炭素鋼鋼管。直径は 500 です」

「ちょっと待てよ」と別の参加者。「いや鋼鋼管なら、溶融亜鉛でメッキされた白管のほうがずっといい」

「そんなことはない!」「いやそうだ!」「おい待て! このパイプは中国製じゃないか!」「バカ言うな!」

初めは穏やかに始まった集会ですが、最後は支持者同士が互いをパイプで殴り合う騒ぎとなりました。

風刺・戯文

日本に学ぼう

この度、トルコ、イラク、イランなどの政府関係者が日本を訪問し、川口市を視察しました。どの国も、国内のクルド人をめぐる問題に悩まされてきた国です。

「私たちは日本で実に効果的なクルド人迫害が行われていると聞いてやってきました」と訪問者たちは語ります。「私たちはクルド人としばしば武力による対立を経験してきましたが、それでもクルド人勢力を消滅させることはできませんでした。ところが、日本ではいかなる武器もなしにクルド人を追い出すことに成功しつつあるというではないですか」

街でさっそく、クルド人に対するヘイトスピーチをする市民に出会った訪問者たち。通訳から内容を聞いて感心します。「こんなイヤがらせの仕方があったのですか!」

また、クルド人を追い出そうと集った市民の活動にも大いに関心を惹かれた様子です。

(訪問者)「日本では市民、行政、マスコミが一丸となってクルド人をいじめているのに感銘を受けました。これぞ民主主義のあるべき姿です」

訪問者たちは「クルド人の子どもを標的にするなど、日本人のすばらしい陰湿さを学ぶことができたのは大きな収穫でした」と、満足げにそれぞれの国に帰ったということです。

風刺・戯文

素人は黙ってろ

素人はしょせんプロには敵わないのです。まず、経験と知識の差があります。プロは長年の訓練や実践を通じて、素人がちょっとやそっとでは追いつけない経験と知識を身につけているのです。

それに、プロというものは必ず結果を出しています。だからプロといえるのです。一方、素人は結果など出せませんね。だから、プロではないのです。

さらに大事なことをいえば、プロと素人では責任の重みが違うのです。プロには間違いが許されません。ですが、素人はたいてい間違います。ひどいのになると、間違っても気づきもしない。いや、もちろん、プロだって人間です。間違うときもありますよ。ですが、そんな時でも徹底したリスク管理能力があるおかげで、被害を最低限に食い止めることができるんです。

だから、素人がプロに対して意見を言うのはもう本当に間違っています。素人にはそもそも意見を言う資格すらないんです。

それでです。将軍とはなんですか? そうです。戦争のプロです。その将軍が、みなさんに、たった10万人の犠牲で、戦争に勝利するといっているんです。素人は文句など言わずに、黙って前線に行ったらどうですか。

風刺・戯文

反日外国人の野望

某反日国の秘密研究所に全身傷だらけの男が虫の息で担ぎ込まれてきた。所長が駆けつけると、男は手に握った毛の塊を差し出し、息絶えた。

「つ、ついに手に入れたか! わしらはお前の命を無駄にはせん!」

所長は、研究員たちをただちに招集した。その研究所では、日本を混乱に陥れるための恐ろしい研究が進められていたのだった。所長は、スパイが命を賭して奪ってきたその毛の塊を解析し、遺伝子操作によって、恐怖の「作品」をついに完成させた。

徹夜のせいで青ざめた顔で所長はテレビをつけた。日本の総裁選の様子が映し出される。所長はその成り行きを見ながら、込み上げる笑いを抑えることができなかった。

「フハハ、ムハ、ウハハハハハハ!」

(閃光がきらめき、おどろおどろしい音楽が鳴る)

巨大な獣が荒れ野に出現する。熊のように黒く、鹿のような鋭い角が生えている。目を憎しみにランランと輝かせながら、地を揺るがすような咆哮を上げる。

所長「奈良の鹿の毛から得た遺伝子を、獰猛な熊に注入することで生まれたモンスターよ、行け! 射殺しても非国民、射殺しなくても非国民、暴れ回って日本人を困らせるのだ! フハハハハハハ!」

風刺・戯文

鹿蹴り

武闘派で知られる政治家の発言が波紋を引き起こしている。外国人が鹿を蹴ったのを見たというのだ。ある人はこれは本当だという。しかし、別の人は疑っている。

だが、この政治家が嘘をついているとは考えにくい。もちろん、人間だから、発言のすべて、つまり100パーセント真実というわけではなかろう。だが、10割とはいかぬまでも「大陸から8割」程度には真実を語っているものと思われる。

ところが、テレビなどの取材によると、鹿の周辺にいる人々は「外国人が鹿を蹴っているのは見たことがない」と言っているというのだ。すべての人に取材したわけではないだろうから、もしかしたら、鹿を蹴った外国人を目撃した人には出会わなかったのかもしれない。しかし、それでも、鹿を蹴っている外国人の目撃例が報告されていないことは重視すべきだろう。

とすると、この政治家が嘘をついているのだろうか? それともテレビ報道がデタラメなのだろうか?

ここで私は鋭い知性を働かせ、このどちらもが真でありうる唯一の真実を突き止めた。

まず真実を述べよう。それは「外国人は鹿を蹴った」だ。とすると「蹴っているのを見たことがない」と言っている人々は嘘つきなのだろうか?

いや、この証言も正しい。なぜなら、外国人の蹴りは、目にも見えぬほどの速さで繰り出されたからだ。その素早い蹴りを見抜けたのが、かの武闘派の政治家のみだったというのも当然といえば当然だ。鹿ファーストで考えるならば、政治家などやめて鹿の監視係にぜひ就任してほしい。

風刺・戯文

ブラックホール人

私たちの市で博士と呼ばれている人が、ブラックホールを発見したと、市役所の前で発表した。藪から棒に星の世界へのロマンを掻き立てられた市民は博士を取り囲み、口々に質問した。どこに? どうやって?

「ご覧にいれましょう」

博士は市民を引き連れて、市役所の近くにある公園に向かった。そして、公園の入り口にあるポストの前に立つと、こう告げた。

「これがブラックホールなのです。何年にも渡り、このポストを観測してきた結果、その結論に達したのです」

市民はこう尋ねずにはいられなかった。「どうしてわかったのですか?」「エビデンスを示せ!」

「その証拠はこれです」と博士は手帳の1ページをを見せた。そこには日付が並べられていた。「ここに書かれている日付は、私がこのポストに手紙を投函した日です。そして、その手紙はどれも届かなかったのです! つまり、このポストの中に入ったら最後、どんなものすら外に出てくることは不可能なのです。そんなことを起こしうるのは、全宇宙でブラックホールだけです!」

だれもが博士の慧眼に感嘆し、興奮して叫んだ。「こんな田舎にそんな大したものがあるとは!」「市の誇りだ!」

ちょうどその様子を見ていた郵便配達員、大急ぎで郵便局に戻ると、郵便局長に公園の「ブラックホール」のことを話し、こんな告白をした。

「もうしわけありません、配達を終わらせることができず、何通もの手紙を勝手に捨てていました!」 

……結局、局長はいろいろな事情から、配達員の「犯罪」を隠蔽せざるをえなかった。それで、ブラックホールという嘘が1日でも長く続くように、今では局長は、誰かが来るたびに、ポストに仕掛けたマイクでこんなふうに話しかけている。

「聞こえますか……聞こえますか……私はブラックホール人……」