風刺・戯文

男たちの危険な遊び

この世界には、口に出しては言ってはいけないことがあるの。そう、男たちが言わないで我慢している言葉がある。なぜなら、口にすると世界を取り返しがつかないくらいに変えてしまうから。男たちにはこんなことは言えないわ。男の言葉は本気だからね。だから、言いたくてもただぐっと口を引き絞るばかり。

でも、歴史のある時点で、男たちはこの言葉を世界に向けて射出する方法を見つけたの。それは私たち女の口を使うこと。男たちは自分の代わりに女たちに危険な言葉を言わせる方法を編み出したの。男たちは、女が言うなら大丈夫だって考えたのよ。どうしてかというと、女や子どものいうことなど、誰も本気にしないから。

それに、もし誰かが本気にして怒り出しても、男たちは自分が言ったんじゃないって言い張れるし、その人が女に危害を加えようとしても守ってやればいいって思ってた。そう、絶対に、男は自分は損しないって踏んでたの。

女たちは男に代わって危険なことを言いつづけたわ。絶対に世界を変えない安全で危険な言葉。男たちはその言いたくても言えなかった言葉を聞きに、女の周りに集まった。女が口を動かすたびに、男たちは快感に身震いしたわ。

でも、女の口を使った男たちの危険な遊びは長くは続かなかったの。快楽に溺れた男たちはもっともっとその言葉を聞きたくて、いちばん淫らな口をした女に自分たちの持っているものすべてを与えたの。

そのせいで、女の言葉は本気になった。で、私たち女も、男たちも、今、炎に包まれた世界で生きているってわけ。

風刺・戯文

ギブミーガン

アメリカ大統領が日本にやってくると「日本でも銃を自由化せよ」と圧力をかけた。おりしも存立危機事態のことばかり考えて夜も眠れない状態だった日本の首相、内心「これは国民皆兵にうってつけだ」と考えて、得意の英語で「ダー」と返事をした。

たちまち日本に銃を積んだコンテナ船がやってきて、米兵たちがまるでチョコレートでも配るように、「ギブミーガン」と群がる日本人に銃を撒き散らした。

人々はさっそくあちこちで銃乱射に精を出した。撃ち鉄たちが満員電車に向けて銃を乱射すれば、乗客も駅員も撮り鉄も過去の因縁を忘れて仲良く撃ち殺された。銃をもったクレーマーときたら、もう無敵で、病院の待合室、携帯の売り場、コンビニのレジ、クレームのクの字が出る前に、銃口から弾丸が飛び出た。ラーメン屋では年がら年中イラついている店主と客が撃ち合い、ラーメンに血のトッピング(無料)だ。学校では銃撃の音がチャイム替わりで、子どもたちは逃げ足ばかり早くなった。

アメリカの大統領は日本での事態を受けて、声明を発表した。

「アメリカで銃乱射事件が多発しているなど、フェイクニュースだ。日本に比べれば銃乱射が少ないくらいだ。銃規制など必要ない!」

日本の政治家たちは、よその国を使って銃規制派をやっつけるアメリカのやり方に感心するあまり、日本が存立危機どころかもう存立すらしていないのに気がつかなかった。

風刺・戯文

デューティ・ヘイヴン

タックス・ヘイヴンとは、税金ゼロか、ほとんどかからない租税回避地のことです。納税の義務を回避して脱税したり、非合法な利益によって得た資金を洗浄する拠点となっていて、ときどきニュースになったりします。

このタックス・ヘイヴンの代表として知られるのは、ケイマン諸島、バージン諸島、ジャージー島などの島です。

ところで、最近、デューティ・ヘイヴンという言葉も話題になっていますね。これは責任回避地とも呼ばれていて、うまく利用すると、どのような責任も回避できたり、非合法な行為によって生じた責任を洗浄してキレイにすることもできるのだそうです。

実は、このデューティ・ヘイヴン、日本国内にもあるんです。

それは竹島と尖閣諸島です。

政治家たちは、自分の言葉や行為をこれらの島を経由させることで、責任を回避させたり、卑劣な意図をクリーンにしてみせたりしているのです。最近では、政治家たち、台湾までデューティ・ヘイヴン扱いにして、責任回避に利用しています。

では、どうして、島で責任を消したり、キレイに洗ったりできるのでしょうか。でっかいクリーニング工場が夜も昼も動き続けているということです。

それにしても、うっかり発言で戦争が起きたとしても、責任なしどころか、万歳三唱ときたら、死んだ私たちは浮かばれませんね。

風刺・戯文

『存立危機事態 ザ・ムービー』

【ザンゲー通信:記者の目】
日本の首相が、台湾有事が「存立危機事態」だと発言したことに対し、中国政府が大きく反発しています。中国にとって台湾は自分の一部であり、首相の言葉は、中国と台湾の分断を煽るものだというのです。

そんななか、中国の高官がこんな発言を——

「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬のちゅうちょもなく斬ってやるしかない」

この強烈な言葉は、日本中に大きな怒りと反発を生んでいます。なかには「首相とその首の分断を煽るのは内政干渉だ」と言い返す声まであるとか。

日本の首相の発言をきっかけに、ヒビの入った日中関係。ですが、私はこの機会こそ、日中友好の好機ではないかと考えています。

中国の高官の発言ですが、おそらく、この発言は中国伝統の剣術である薛剣を念頭に置いてなされたものでしょう。この剣は明末清初の混乱の世に斬首に用いられたと伝えられ、斬首剣とも呼ばれているとか。

いっぽう、「勝手に突っ込んできたその汚い首」という言葉にも興味深い背景が。日本から台湾までの距離を考えると、これは明らかに日本の妖怪「ろくろっ首」を踏まえたものでしょう。どんな首相の首だって、そんな遠くまで伸びれば、汚くもなろうというもの。

ここで提案なのですが、この件を機会に、斬首剣の達人と妖怪ろくろっ首が台湾を舞台に大暴れして、とんだ存立危機事態を引き起こす大活劇映画「斬首剣 VS ろくろっ首」を日中合同で製作したらどうでしょうか。作品の出来はともかく、「存立危機事態」は映画の中だけで十分でしょう。

風刺・戯文

家計にやさしい国旗損壊罪

日本でも国旗損壊罪の制定に向けて大きく動き始めました。賛否両論のあるこの国旗損壊罪ですが、日本国民にとって意外なメリットも存在します。

「国旗損壊罪は、じつは庶民の家計にやさしいのです」

こう取材班に語るのは経済アナリストの吉田九郎さん。その理由とは————

「日本の国旗損壊罪でかねてから問題になっているのは、日の丸弁当を食べることが国旗の損壊に該当するかどうかです。侮辱の意図がなければ、食べても問題がないというのが通説なのですが、もしも、国旗損壊罪の存在によって、誰もが日の丸弁当を避けるようになった場合、そうした状況で食べるとしたら、侮辱に該当する可能性が高くなります」

ここで吉田さんは新たな観点を指摘します。

「それはさておき、法律上は日の丸弁当を食べてもいいとされているわけですが、それなのに日の丸弁当を食べずに、幕の内弁当や、ステーキ御膳や、ノリ弁を食べたとしたらどうでしょうか。最新の法学説によれば、これは日の丸弁当を侮辱していることになるそうです。そして、この状況が国旗の存在に起因している以上、日の丸弁当に対する侮辱は、国旗損壊罪に該当することになるのです。しかも」と吉田さんは驚くべき結論を提示します。

「この解釈は、弁当だけでなくあらゆる食べ物に当てはまるのです。ですから、国旗損壊罪の制定は、日本人が食べることをやめることになるのに等しいと言っても過言ではありません。これこそが、国旗損壊罪が家計にやさしいと私が主張する理由です。なにしろ食費がゼロになるのですから」

なるほど、とうなずく取材班に、吉田さんは国旗損壊罪のメリットをさらに教えてくれました。

「そればかりではありません。日本人が食べなくなるということは、肥満率が低下するということです。これは肥満を原因とする生活習慣病が抑制されるということでもあります。となるとどうなるか。大幅な医療費の削減が見込まれるということです。これにより政府の財政はより健全になり、将来的には消費税の廃止につながります。つまり、食費も消費税もゼロになる、だから、国旗損壊罪は家計にやさしい政策なのです」

国旗損壊罪は愛国者の味方であるばかりでなく、主婦の味方でもあるようです。

風刺・戯文

ワーク・ライフ・バランス

社長がこんなことを言い出した。

「ワーク・ライフ・バランスを捨てて、働かねばならない」

社員の一人が言った。「私たちも捨てねばならないのでしょうか」

「社長が捨てるのに、平社員が捨てない会社がどこにある」と社長。「会社のために働いて働いて働くのだ。さもなければクビだ!」

社長が行ってしまうと、社員たちは集まって相談した。「燃えるゴミだろうか? それとも粗大ゴミだろうか?」 「リサイクルかも」 すると古株の社員が呆れたように言った。「バカなことを言うな。家庭ゴミなわけない。事業系ゴミだ!」

そこで、市役所の環境課に問い合わせたが、だれもワーク・ライフ・バランスの廃棄法を知らないのだった。

「市役所ではなく政府に直接に聞いてください」 こう言われてはもう打つ手なしだ。

困り果てた社員たちは、ワーク・ライフ・バランスを廃棄するよりも簡単なことを思いついた。真夜中、全員で社長の家に行き、酒を飲んで寝ている社長を簀巻きにして、東京湾に投棄した。真っ暗闇だったので、だれがなにをしているかだれにもわからなかった。

風刺・戯文

世界の真ん中で咲き誇る

かねてから日本は「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」ためのプロジェクトを準備してきましたが、今日、そのローンチが発表されました。

(政府関係者)「このプロジェクトには、大きく分けて2つのステップがありますが、今回は第1段階として、世界の真ん中の探索に乗り出します。というのも、世界の真ん中がどこかわからなければ咲き誇ろうにも咲き誇りようがないですからね」

「世界の真ん中探索隊」に選ばれたのは、厳しい訓練を乗り越えた 10 名の由緒正しい日本人。明日午後、晴海ふ頭に停泊中の探査船「馬車馬」に乗り込み、世界に向けて出発します。

(隊長)「約一ヶ月の航海ののち、世界の真ん中である可能性の高い海域に到達し、さまざまな調査を行う予定です」

(記者)「世界の真ん中とはどのようなところなのでしょうか」

(隊長)「行ってみなければわかりませんが、少なくとも中国や韓国、北朝鮮は近くにはないと考えられます」

探索隊は、世界の真ん中の調査完了後は、そこで開花する可能性のある植物の種を探して、航海を続けることになっています。

風刺・戯文

人類に不可能なこと

アメリカの科学ジャーナル「サイエンティフィック・ベンチマーク」に「人類に不可能なこと」という興味深い記事が掲載されたので、一読に及んだ。

試みに冒頭の部分を訳す。

「人類の科学の進歩は目覚ましく、今や私たちは、高速の移動手段、全世界的な通信ネットワーク、手のひらに入る大きさの人工知能など、前世紀の人々から見れば夢のようなデバイスを手に入れた。私たちは今もなおさまざまな夢を思い描いており、科学の発展によりいつかはそれらも実現すると思い込んでいる。だが、最新の研究成果を突き合わせると、私たちの夢の中には、原理的に不可能なことがあることもわかってきた。ここに紹介するのは、人類の総力を結集したとしても絶対に実現できない夢のいくつかである」

では、その「人類に不可能なこと」とはどのようなものだろうか。記事では5つが挙げられている。以下簡単にまとめる。

①光速を超える移動(超光速航行):光速に近づくには無限のエネルギーが必要なため不可能。
②永久機関:熱力学第一法則に反するため不可能。
③未来の完全な予知:量子力学の不確定性原理により完全な予知は不可能。
④過去へのタイムトラベル:スティーヴン・ホーキングの「時間順序保護仮説」によれば不可能。
⑤移民排斥:人間は国境を越える存在だから、移民をゼロにするのは不可能。

「これらは、どだい無理なのだから、別のことに頭を使ったほうがいい」と記事は結ばれている。

風刺・戯文

やすく NISA

新しい政府になって、ますます愛国心が求められる世の中になってきました。これからはなにをするにも愛国心がないと困ったことになりそうです。

普段から愛国心をはごくんできた人なら安心ですが、すっかりほったらかしにしていた人も多いのではないでしょうか。今になってあわてて愛国心を身につけようとしてもそう簡単にはいきません。あわてる国士は愛国心が少ない、などと言うとおり、ここはひとつ腰を据えて愛国心の涵養に努めたいものです。

長期的に愛国心を増やしたい方にお勧めしたいのは「やすく NISA」。毎月、少しづつ投資しながら、愛国心形成を行うことができます。

「やすく NISA」は、少額からのつみたてが可能で、初心者にも始めやすいのが特徴です。また、NISA は通常、非課税ですが、「やすく NISA」は「非」が非国民に通じることから、「非」の疑いを完璧に晴らすために、しっかりがっちり課税されることになっています(税率 99 %)。「やすく NISA」による税収は、靖国を参拝する政治家の玉串料として用いられます。

手数料を払うと、手元には財産は残りませんが、その代わり、靖国参拝を支えたという愛国心で胸を張ることができるのも「やすく NISA」ならではといえるでしょう。

風刺・戯文

身を切る改革

自民と維新の連立により、議員定数削減の道が開かれることになりました。定数削減は財政負担を減らすなどのメリットもありますが、議員の数を減らすことなのだから民主主義を制限するものだという意見も根強くあります。

どちらの立場を取るにせよ、この問題は、国民が政治家の役割を真剣に考えるよい機会となるのではないでしょうか。

さて、定数削減の議論の高まりを受けて、あるゲームが話題を呼んでいます。これは日本のゲームクリエイターが制作したもので、その名も「身を切る改革」。

プレーヤーが主人公となって、国会に乗り込み、剣を振るって政治家を切りまくるゲームです。マルチプレーヤーで連立を組んで改革に挑むことができるのも特徴です。

単純なゲームのように思えますが、かなりの高難度で「身を切る改革」の厳しさが実感できる作りになっています。

ゲームを体験したプレーヤーからは「切っても切っても復活しやがる。こいつらいったいどうなってるんだ!」という声が上がっています。