風刺・戯文

地球温暖化のためにできること

【あほうの党党首からのメッセージ】
高齢化が我が国にもたらすのは、社会保障費の増大です。つまり、年金・医療・介護という三重の社会保障費が政府の財政を圧迫するのです。

このままでは、高齢者の暮らしが危うくなるだけでなく、現役世代の負担もますます重くなるばかりです。

しかも、我が国の将来を左右するこの未曾有の事態に対して、与党はいうもおろか野党までもが、ただ手を拱いているだけなのです。もう、こんな政治家たちに我が国は任せられません。

私たちあほうの党は、この問題に真剣に取り組み、ついに解決する方法を見つけました。それは、地球温暖化です。みなさん、地球温暖化というと、なにやら悪いことのように思ってはいませんか? 氷山が溶けたり、砂漠が広がったり……こんなのはぜんぜん他の国のことです。我が国には関係ありません。それどころか、我が国にとっては実は地球温暖化はいいことずくめなのです。

だって、地球温暖化により、我が国が常夏の国となるのですから。こうなると、もう冬などないのです。夜、外で寝たって平気なのです。暖かいのですから! だから、高齢者にはあれやこれやのホームはもう不要です。道端でのんびりお過ごしいただければいいのです。しかも、いい陽気ですから、心も軽くなります。気分も上々です。病気なんかすぐに治ってしまうでしょう。医療費削減です。年金だっていりません。空き缶を置いておけば、道ゆく人がお金を投げ入れてくれるのですから。そう、必要なのは社会保障費なんかじゃなくて、敬老の精神だったのです! 

どうですか。地球温暖化で医療も介護も年金も不要となりました。地球温暖化のためにできること、きっとたくさんあるはずです。私たちあほうの党と一緒にがんばってみませんか。

【お知らせ】
大晦日の夜、「地球温暖化チャレンジ」を実施します。プログラムは、「本当は楽しい地球温暖化」「燃えないごみを燃してみよう!」「裸で野宿で温暖化を先取り!」など盛りだくさん。奮ってご参加ください! *防寒具は各自ご用意ください。

苦い文学

日本で最初の強制送還

今日、日本で初めて、日本人の強制送還が執行され、これまで外国人だけになされていた強制送還制度が大きな転換を迎えることとなりました。入管法に詳しい有識者は「不良日本人や非生産的な日本人を日本国内から追放する道筋が示された」と評価します。

今回、日本史上初の強制送還の対象となったのは吉田六郎さん。50代半ばまで無職で過ごし、東横キッズに仲間入りしようとしたところを逮捕された彼に、「日本には不要」と白羽の矢が立ちました。

「強制退去令を渡されたときは戸惑いましたが、今では頑張って送還されたいと思っています」

と神妙に語る吉田さん、強制送還の朝は品川の入国管理局から、護送車に乗って成田空港に向かいました。沿道には、前人未到の挑戦をする吉田さんを一目見ようと、人々が詰め掛けました。

「まるでパレードのようです」と市民が興奮気味に語ります。護送車から手を振る吉田さんに観衆は喝采を送ります。「いってらっしゃい!」「もう二度と帰ってくるな!」

成田空港でも、この歴史的瞬間に立ち会おうと、人々が押し寄せました。「韓国のスターが来たときの騒ぎですよ」と空港関係者も呆れ顔です。

そして、ついに吉田さんの搭乗のときがやってきました。人々は遠くから固唾を飲んで見守っています。吉田さんがタラップを登り、機内に消えていくと歓声が上がりました。その後、飛行機が離陸したときにはお祭り騒ぎとなり、警官たちが出動する事態となりました。

今回の強制送還の試みについて、有識者はこう語ります。

「これからの日本が、純粋で優れた日本人と、役に立つ外国人だけの国でなくてはならないのは当然です。なので、今後、ますます低劣な日本人の強制送還は増えていくことでしょう」

さて、吉田さんですが、モスクワの空港に運ばれたのち、どこかの国に送還されるそうです。

苦い文学

カレン人の牧師

入国審査を終え、荷物をピックアップし、ゲートを出ると、カレン人の牧師が出迎えてくれた。私の友人の知り合いであるその牧師と電車でホテルに向かう。

その道すがら、私は牧師がビザの延長のためメーソートからたまたまバンコクにやってきていることを聞いた。

私はカレン人の牧師にも友人がいるから、名前を出して尋ねると、そのうちのひとりが亡くなっていたことを知った。

コロナのせいだという。

その牧師と知り合ったのは2004年ごろで、彼は在日カレン人のキリスト教コミュニティを訪問するためにビルマから日本に来たのだった。

私は彼と共通の友人があり、それもあって親切にしてもらった。

当時、牛久の入管にあるカレン人が長期収容されていて、その面会に彼と行ったことも思い出される。

その後、私がビルマに行ったとき、彼はヤンゴンからデルタへの出張に私を連れていってくれた。夜中ボートで川を進み、星を見ながらお酒を飲んだのもこのときだ。

目的地には鯉の養殖場があった。殺生をしない仏教徒の代わりに、キリスト教徒のカレン人がこういう仕事をするのだということも聞いた。

困ったのは、日本から客がやってきたというので、「日本ではこうやって食べるのだろう」と養殖場の人に鯉の刺身を出されたことだ。

やむなく一切れか二切れ食べたところで、その牧師が、日本で刺身にするのは海の魚だけだと言ってくれたので危うく鯉口を脱したのだった。

さて、私はここで彼の名前を書いてもいいのだが、もしかしたら間違いという可能性も捨てきれない。いつかビルマに行って彼の墓をこの目で見るまでは、そのままにしておきたい。

苦い文学

いつかまたきた道

ロシアがウクライナに侵攻する。ウクライナ、NATO とアメリカの軍事支援を受けて抗戦する。ロシア、後退する。戦線膠着する。

北朝鮮、日本の EEZ 外にミサイル発射。

NATO とアメリカ、更なる軍事支援を行う。ドイツが軍事支援に踏み切る。ウクライナ軍、攻勢強める。ロシアがウクライナ占領地域で核を使う。

NATO とアメリカ、公式に参戦する。ウクライナでの戦争激化。

北朝鮮、日本の EEZ 外にミサイル発射。

ロシアと中国が軍事同盟を結ぶ。中国、台湾侵攻開始(台中戦争)。アメリカ・日本・韓国、台湾を支援。アメリカ、自軍の派遣を決定。米中戦争の勃発。世界戦争に発展。

日本、軍事化を進める。新憲法の成立。徴兵制の再開。米中戦争に派兵し、日本参戦。これを受けて、ロシア、北海道に侵攻。中国、沖縄占領。

北朝鮮、日本の EEZ 外にミサイル発射。

日本国内での戦争激化するも、ロシアによる核使用で終結。米軍の撤退。日本占領。ロシア・中国を後ろ盾とする傀儡政権が日本で成立。

そのころ、ヨーロッパ戦線では、NATO・米軍がロシア軍に勝利する。ウクライナ解放。休む間もなくロシアに侵攻。モスクワを占領し、プーチン政権崩壊。民主ロシア誕生。

ロシアの資源とエネルギー問題をめぐり、EU で対立。ドイツ国内で反発高まる。

北朝鮮、日本の EEZ 外にミサイル発射。

米軍、中国への攻撃強める。台湾から中国軍撤退。共産党政権が崩壊し、民主政権樹立される。

日本主権回復。軍事化進む。反米・反中・極右政権の成立。国連から脱退。韓国・中国の「反日分子」殲滅を目的に出兵。

ドイツ、EU および NATO から離脱を宣言し、ポーランドに侵攻する。イタリアで極右政権成立。

ドイツ、日本、イタリアの日独伊三国同盟締結。枢軸国の成立。

日本、真珠湾奇襲攻撃。日米開戦。枢軸国と連合国とによる世界大戦始まる。

北朝鮮、永世中立を宣言。

苦い文学

あるストラテジー

ビルマ人の夫婦がいた。二人とも難民申請していたが、夫のほうの在留が認められたので、妻のほうは申請を取り下げて配偶者として定住者ビザを取った。

しばらくして、夫が亡くなった。そして、彼女のビザの更新時期が来た。彼女が更新を希望すると、入管から「夫が死亡したにもかかわらず、日本にあなたが在留する理由を書いてください」という通知が来た。

彼女はある程度日本語ができるので、自分で理由書を書き、私にチェックしてほしいといって送ってきた。

日本にしっかりとした生活基盤があることと、定住者ビザから永住者ビザに変更したいということが書かれていた。しかし、私には「難民なので今のビルマには帰れません」ということも書いたほうがよいように思われた。そこで、そう指摘したら、彼女はこう答えた。

「そうすると、特別活動ビザにされてしまうかもしれないから、あえて書かないほうがいい、と他のビルマ人に言われました」

この言葉を理解するには、昨年の夏に出された「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」について知っていなくてはならない。

これは、政情不安から帰国できずにいるビルマ人に在留や就労を認める「特定活動ビザ」を積極的に出すという措置だ。

定住者ビザを持っている彼女にとって、特定活動ビザは「格下の」ビザだ。なので「難民」の理由を加えることで、「緊急避難措置」の対象とされてしまうかもしれないと心配したのである。

私はなるほどそういう考えもあるかと思い、理由書の修正を強くは勧めなかったのだった。

そして、結果が出た。

在留を認めないので帰国しなさい、というものだった。

難民の理由も書いていたら、定住者ビザが出ていたかもしれないし、あるいは、結果は変わらなかったかもしれない。だが、少なくとも特定活動ビザは出ていただろうと、私は推測するのだ。