Satire

Blooming Proudly at the Center of the World

Japan has long been preparing a project to “restore Japanese diplomacy that blooms proudly at the center of the world.”¹ Today, the launch of that project was officially announced.

(Government official): “The project consists of two main stages. This time, we will embark on the first stage — the exploration of the world’s center.
After all, unless we know where the world’s center is, there is no way to bloom proudly there.”

Those selected for the World Center Expedition are ten distinguished Japanese citizens who have survived rigorous training. This afternoon, they boarded the research vessel Bashauma (“Workhorse”)² docked at Harumi Pier and set sail toward the world.

(Expedition leader): “After about a month at sea, we expect to reach the area most likely to be the world’s center and conduct various surveys.”

(Reporter): “What kind of place do you imagine the center of the world to be?”
(Leader): “We won’t know until we get there. But at the very least, we believe it’s nowhere near China, South Korea, or North Korea.”

After completing their investigation of the world’s center, the expedition plans to continue sailing in search of seeds of plants that may one day bloom there.


Footnotes

  1. Refers to Prime Minister Sanae Takaichi’s slogan, “to restore Japanese diplomacy that blooms proudly at the center of the world.” 
  2. The ship’s name, Bashauma (literally “workhorse”), refers to Takaichi’s famous line: “We will work, work, work like workhorses.” It has become shorthand for her intense work-ethic populism.
風刺・戯文

世界の真ん中で咲き誇る

かねてから日本は「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」ためのプロジェクトを準備してきましたが、今日、そのローンチが発表されました。

(政府関係者)「このプロジェクトには、大きく分けて2つのステップがありますが、今回は第1段階として、世界の真ん中の探索に乗り出します。というのも、世界の真ん中がどこかわからなければ咲き誇ろうにも咲き誇りようがないですからね」

「世界の真ん中探索隊」に選ばれたのは、厳しい訓練を乗り越えた 10 名の由緒正しい日本人。明日午後、晴海ふ頭に停泊中の探査船「馬車馬」に乗り込み、世界に向けて出発します。

(隊長)「約一ヶ月の航海ののち、世界の真ん中である可能性の高い海域に到達し、さまざまな調査を行う予定です」

(記者)「世界の真ん中とはどのようなところなのでしょうか」

(隊長)「行ってみなければわかりませんが、少なくとも中国や韓国、北朝鮮は近くにはないと考えられます」

探索隊は、世界の真ん中の調査完了後は、そこで開花する可能性のある植物の種を探して、航海を続けることになっています。

苦い文学

屁の喪失

腸内環境のエキスパートだと名乗るその男は、健康に関する不安につけ込み、巧みな話術で私を信用させると、そのサプリメントを高額で売りつけた。そして、服用をはじめたその日から、私は屁を失った。

私ははじめのうちおかしいとも思わなかった。自分が長いこと屁をしていないことに気がつきもしなかった。そして、それに気づいた後でさえも、これは自分の腸の調子がよくなっているからだと好意的に捉えた。

しかし、人間がこれほどまでの間、屁をしないことなどあるだろうか。そう思うと私は不安になり、病院に駆け込んだ。そこで診察の結果、私の腸内から屁が消え去っていることが判明したのだった。

いや、正確にいうと、腸内において屁は存在するのだが、ただ、生成されたとたん、どこかに消えてしまうのだ。結果として、私はいっさい屁をすることができなくなってしまった。医者はいった。

「屁泥棒ですな。サプリメントをやめてももう腸はもとに戻らない。諦めることです」

ああ、失ってみて初めてわかる。屁がどれだけ私に快感を与えていたかを。その音がどれだけ心地よいものであったかを。そして、その匂いがどんなに私の孤独を慰めたかを。

屁なき人生とは、屁のようなものだ。

(この手記の作者は、ある事故により、自分の屁についての感覚をいっさい失った結果、このような妄想を信じることとなった。実際は、大きくてとびきり臭い屁を頻発する人物である。)

苦い文学

このブログの作者

このブログの作者は私だ。

毎日、なにかしら書くということを始めたのが、2021年11月1日だから、もう2年がすぎたことになる。

2年前、私はちょうど1ヶ月分書き溜めてから始めた。計画では、1日1個なにか書いておいて、1ヶ月分のストックを常に維持しておくつもりだった。だが、不思議なことにひと月後にはあえなく在庫切れとなった。それ以来、基本的にはその日書いたものを投稿している。

私は作家ではないから、書くということはよくわからない。午前0時前までに投稿することにしているが、午後11時になっても書くことがないことも多い。それでもいろいろ考えると、出来の良し悪しは別として形になる。

1時間前まで考えもしなかったことが、1時間後には形になっているのが不思議だ。

もうひとつ不思議なのは、翌日、自分がなにを書いたかまったく思い出せないことだ。自分のブログを見て、ようやくなにを書いたか知るのだ。

私の友人でこのブログを読んでくれている人がいる。その人がいうには、このブログの作者は私とは別の人のように感じるのだという。

私もなんとなくそんな気がしていたところだ。たぶんこのブログの作者は私ではないのだろう。

苦い文学

バカなおじさんの後悔

バカなおじさんが泣き叫んでいた。

自分の頭をぽかぽかと殴り、地べたを転げ回ったかと思うと、天を見上げて、恨みとも呪いともつかぬ言葉を撒き散らした。

見かねた人が、バカなおじさんに尋ねた。

「どうして、そのように嘆いているのですか。後悔先に立たずというように、起きてしまったことはしかたがないのです」

バカなおじさんは涙ながらに答えた。

「ああ、いつの頃からか、私は虚しさを感じるようになったのです。心にポッカリと空虚な穴ができたようで、ご飯を何杯お代わりしても、何時間も寝ても、その穴は埋まりませんでした」

「人間だれしもそういう思いをすることはあります」

「しかも、私の心の中のその空虚な穴は、年を経るに連れてどんどん広がっていくではありませんか。そして、いまやもう東京ドーム10個分……」

そう言いながら、バカなおじさんは嗚咽を漏らし、自分の頭を叩きはじめた。

「どうしたのです、やめてください!」

「これが後悔せずにいられましょうか! 私の心の中に広がる、漠々たる空虚をハロウィーンの会場に使ってもらっていたら、あんなことには決して……!」

苦い文学

千のコロナになって

八月になってからワクチンを打とうと思っていたら、市内ではもう予約はできないのだった。人の話によると一年後だとかいう。

職域接種という手もあるが俺は無職なので可能性はない。無職域接種だったら、と希望を持ったが、ワクチンどころか平手打ちを食らうおそれもある。俺はついに諦めて、こんな歌を詠んだ。

ワクチンの争奪戦に敗れし我は新たなコロナに生まれ変わらむ

どうせコロナにかかって死ぬのならば、もっと新型でもっと強力なコロナに転生して、この世を席巻してやろうと考えたのだ。

俺たちは、次の次の御代ぐらいに、どこかの密林で誕生するだろう。名づけに困るほどの株を秘め、もう誰もが数えることを諦めるぐらいの波を従えて、放たれるだろう。そして、触れる者をみな陰謀論者へと変え、人類を滅亡の淵へと追いやるのだ。

だが、その後、あるツテを使ってワクチンを接種することができた。今は一刻も早くコロナが収束することを祈りながら、韓流ドラマを見る毎日だ。