旅・観察

ターウジュートへの土産

翌日の朝、私たちはターウジュートに向かって出発した。マトマータを出る前に、Sさんは八百屋でスイカとメロンを買い、食料品店でクッキーとジュースを買った。村へのお土産だ。

私たちが夜を過ごしたマトマータは、地中海に面した街ガベスから南西に向かう道路を一時間ほど進んだところにある。車はさらにその道を西に進む。十キロほど進むと、タマズラットという小さな村がある。この村でもベルベル語が話されている。

道をさらに西に向かうと、南部の都市ドゥーズに至る。また、タマズラットを起点に北に進む道もある。ターウジュートに向かう道だ。曲がりくねった山道を三〜四キロ進むとターウジュートに着く。

その道中、iPhone の地図を見ながら私は、ターウジュートの先にはなにがあるのか、Sさんに尋ねた。というのも道はそこで終わっていたから。

「なんにもないよ」と笑う。

同じベルベル語が話されている村でもタマズラットは違う。ガベスとドゥーズを結ぶ道の途中にあり、車が行き来し、観光バスも通る。大きな家もある。しかし、ターウジュートは通過点にもならない。行き止まりだ。そんな場所にベルベル語が生き残っている。

タマズラットに近づいたとき、Sさんが水を買い忘れたと言った。タマズラットで車を止め、Sさんは店に水を買いに向かった。車で待っていると、Sさんが一リットル半の水を十二本ぶら下げて出て来るのが見えた。私はてっきり自分の飲み水を買いに行ったのかと思っていたが、お土産だったのだ。

そういえば、前日の夜、ターウジュートでは断水が一週間続いているとSさんが話していた。ペットボトルの水がお土産になる場所に私たちはやってきたのだ。