風刺・戯文

ビッグクランチ★セオリー

宇宙はビッグバンによって始まり、それ以来、私たちの宇宙の膨張が始まった。

このまま宇宙が膨張し続けると、宇宙のあらゆる物質が永遠に拡散することになる。そして、その果てにあるのは、すべてが切り離された孤独で冷たい無の世界だ。なんと寂しいことだろうか。そのような宇宙では、隣の人に話しかけるのにもほぼ永遠のときが必要なのだ。

しかし、これとは逆の宇宙を想定する理論も存在する。ある条件のもとで、宇宙は膨張から収縮に転ずる可能性もあるのだという。この場合、ある時点で、全宇宙の物質が一点に集中することになる。このような全宇宙の収縮をビッグクランチと呼ぶ。もしもこの宇宙が一点にクランチするのであれば、地球から月に行くのも簡単だろうし、行くときも、みな肩を組んで仲良く行くことであろう。

私は断然、ビッグクランチ派だ。もちろん和気あいあいとしたビッグクランチのほうが好みということもある。だが、天文学者として、また宇宙理論家としても、私は、宇宙が膨張するどころか、すでに収縮を始めていると断言できる。

そう断言できる根拠については、ここでは述べない。専門家以外にはわからないからだ。ただ、もしあなたが「コンプライアンスだの人権だの、うるさい奴らばかりがのさばって、窮屈な世の中になった」と感じているのならば、その直感は正しい、とだけ言っておこう。

風刺・戯文

自分を好きになれるたったひとつのやり方

【新刊案内】『自分を好きになれるたったひとつのやり方』 辺見達夫著

人生で何よりも大事なのは、自分を愛すること。自分を愛することができれば、人生が変わる!

でも……どうやったら自分を好きになれるの? そんな悩みを持つあなたのために書きました。

自分を好きになるためになにをしたらいいか、少し探せばこんな答えが出てきますよね。

・なにかを成し遂げよう。
・友達を作ろう。
・規則正しい生活をしよう。
・自然と親しもう。

「うーん……これをしたら自分を好きになれるっていうけど……無理じゃね?」

そうです。大変ですよね。

「もっと簡単に、楽に、自分を好きになることってできないのかな?」

できますよ! 実は。簡単で、労力要らず、お金もかけずに、できるんです。

「えっ、そ、それはなんですか?」

あなただけにそっとお教えしましょう。それは、怒ること。

最新の脳研究によればズバリ、人間が自分を愛しているのは、怒っているときなんだそうです。ならば、怒らない手はないですね!

『自分を好きになれるたったひとつのやり方』には、あなたがお金をかけずに怒りっぽくなれる方法をたくさん詰め込みました。家庭で、お店で、職場で、駅で、ネットで、どこででも、そしていついかなるときでも、怒りに怒って、罵声をあげ、威嚇し、罵り、土下座させて、自分を好きになりましょう!

風刺・戯文

アウトとセーフ

みなさん、今日ここにお集まりいただいたのは、驚くべき発明をご覧にいれるためです。それはこの扉の向こうにあります。みなさんをそこにお連れする前に、私が何を発明したか、お話ししましょう。

私たちがいつも驚かされるのは、昔セーフだったことが、今はアウトになっていることです。例えば、タバコ。昔は飛行機でも病院でもどこでも吸えましたが、今はアウトなのです。

それに、昔はなんでもなかったことが、今ではセクハラ、パワハラ認定です。子どもの躾が今は虐待と呼ばれるようになりました。なんでもアウトになってしまったのです。

つまり、これがどういうことかと言いますと、時の流れとはセーフがアウトになることだったのです。セーフがアウトになり、また、現在のセーフが刻一刻とアウトになっていく、このアウトからセーフへの流れが、歴史であり、時間の本質であったのです。

ということは、もしアウトをセーフに変えることに成功すれば、時間を逆行できるのではないでしょうか。そうです、私はこの原理を利用してタイムマシンを発明したのです。

そのタイムマシンはこの扉の向こうに広がっております。さあ、過去への旅を体験したい方は、私と一緒にこの扉をくぐろうではありませんか。

タバコの煙が充満し、セクハラ、パワハラ、いじめに虐待、ありとあらゆるアウトなものに満ち満ちたこのタイムマシンに、みなさん、どうぞ……遠慮なく……あの、どちらへ……おーい……

風刺・戯文

元気回復会議

私は日本を元気にしたい。そんな気持ちに突き動かされて、私は、著名な元気有識者の先生方の協力を仰いで、非営利団体日本元気回復会議を設立した。日本の頭脳が知恵を絞って、日本を元気にする方策を打ち出すのだ。私たちの団体では、日本の元気度のモニタリング、元気にするための活動の提案、啓発活動などを行なっている。

しかしながら、私たちが期待したほどには、元気度が上昇していないのが現状だ。私たちは、運動のテコ入れを図るべく、日本を元気にする活動をさらに強靭化することにした。「オールジャパンで日本を元気に」キャンペーンの実施だ。私たちは、このままでは日本の元気が危ない、という危機感のもと、官民を巻き込んだ積極的な活動を展開し、毎月、全国日本を元気にする大会を日本各地で開催することにした。そして、これらの大会のインターバル期間には、全国の元気の掘り起こしを目的にほぼ毎日オンライン集会を行った。さらに、SNS にも注力し、24 時間体制で広報活動を実施している。

私たちは、定期的に日本の元気度を測定しているが、これだけの活動にも関わらず、日本の元気度にさほど変化が見られないのは、まったく理解に苦しむし、非常に残念だ。

最近では、私たちはこう考えている。日本国内には、私たちと真逆の組織が暗躍しており、日本国民の元気を食い潰しているのだ、と。私たちはこうした組織に負けない。

これからも、日本国民一丸となって、不眠不休で働いて、日本を元気にしたい。

風刺・戯文

元気ちがい

日本を元気に……

日本全国に元気を届ける……

元気……元気……元気……

いつから私たちはその言葉を耳にし始めたのだろうか。ずっと昔すぎてもうわからない。中には生まれる前から、元気……元気……産声もきっと元気がなかったのだ……

いったいいつ日本は元気になるのだろうか。こんなに元気元気と言われ続けているのに……

これから10年先、20年先、100年後までも、元気……元気……元気……と言い続けるつもりなのだろうか。だが、そんなにもして元気にならないというのならば、この日本はもう元気にはならないのではないだろうか。死んだ人間が生き返りでもするような……

はっ、それとも、本当は元気なのでは? そうだ、決して空元気などではない。元気だ。ただ、この国のことだ……国が認めないのだ……国産じゃなきゃって……

「出る元気は打たれる」というわけ……

いや、もしかしたら、元気判定師みたいなのがいるのかも。そいつがそんじょそこらの元気じゃウンと言わないのだ。縦に振らないのだ、首を……

これは別の元気です……元気ちがいです、と。

いつか、元気ちがいのこの国から「日本を元気に」と言う元気がなくなるまで……

風刺・戯文

自己肯定感と守護霊

自己肯定感と守護霊は似ている。

というのも、どちらも人生の成功、幸福、安らぎに大きな役割を果たすと言われているから。逆に言えば、惨めな人生を送っている人は自己肯定感が低く、また守護霊も応援していないと考えられている。

まだ似ているところがある。それは、どちらも本当にあるのかどうかわからないという点だ。いや、自己肯定感をバカにするな、ちゃんとした心理学の概念だ、という人もいるかもしれない。私は心理学はよくわからないが、多分、その存在に関する科学的根拠はなさそうだ。そして、守護霊の存在に科学的根拠がないのはもちろんだ。どちらも幻みたいなのだ。

それに、私たちは普段生きているとき、自己肯定感も守護霊もあまり気にしない。いや、ないようなつもりで生きている。なにか困ったとき、つらいとき、苦しいときだけ、その説明原理としてどちらも現れる。楽しいとき・好調なときに「俺は自己肯定感が高いから気分いいな」とか、「これは守護霊のおかげだ、ありがたや」などと考える人はいない。

もしかしたら、どちらも生きる上では不要なのではないだろうか。なんだか、ますます幻のような気がしてくる。

そして、もっとも似ているのは、それで金儲けする人、つけこむ奴らがいる点だ。私たちはこうしたペテン師たちに喜んで大金を支払うのだ。

こうしてみると、むしろ、自己肯定感も守護霊も、私たちを苦しめるためにでっち上げられたマヤカシだというのがふさわしい。

風刺・戯文

自己肯定感の高め方

自己肯定感とは、ありのままの自分を受け入れること。自己肯定感が高いと、自分はなんでもできるという自信が溢れてきます。だから、自己肯定感の高い人ほど、積極的にチャレンジできますし、努力などしなくても自ずと成功が舞い込んできます。

また、自信のある人の周りにはたくさんの人が集まります。いわゆる「人たらし」と呼ばれるのもこんな人。周りからチャンスとサポートがどんどんやってくるので、気がつかないうちに成功してしまうのです。

では、逆に自己肯定感の低い人はどうでしょうか。自信がなく、いつも隅っこにいます。まるでダンゴムシのようなので、誰も寄って来ません。孤独で貧しい人がこれにあたります。こうした人は毎日を生きるのがつらいです。一歩あるくごとに、自己肯定感がすり減っていくのです。

そして、とうとう自己肯定感がゼロになると、自殺かテロのどちらかしかありません。自己肯定感が低いというのは本当に恐ろしいのです。

ですので、自己肯定感を高めていくことがとても大事です。では、自己肯定感を高めるには、どうしたらいいでしょうか。

まず、自己肯定感を高めることができるという自己肯定感を高めることです。そしてそのために、自己肯定感を高めることができるという自己肯定感を高めることができるという自己肯定感を高めることです。そしてそのために、自己肯定感を高めることができるという自己肯定感を高めることができるという自己肯定感を高めることできるという自己肯定感を高めることができるという自己肯定感を高めることできるという自己肯定感を高めることができるという自己肯定感を高めることできるという自己肯定感を高めることができるという……

風刺・戯文

クマの新しい駆除法

私たちの県では今、クマ被害が大問題になっている。クマが山から降りてきて、農作物を食べ荒らしたり、人々に危害を加えているのだ。犠牲者まで出ている。

はじめは猟友会が銃で仕留めていた。だが、お駄賃を渋ったら臍を曲げて引き上げてしまった。それ以来、私たちの地域は荒らされ、脅かされている。

そんな中、私たちの県知事がすばらしいアイディアを出した。「ドローンから落とした爆発物をクマに食べさせ、リモコンで腹の中で破裂させるのだ」

県は全力を上げて実用化に取りかかった。爆発物自体を作るのは簡単だった。問題は、それをどうクマに食べさせるかだった。研究者たちは県営動物園のクマを相手にいくども実験を繰り返した。おいしそうな匂いをつけたり、はちみつを塗ったり、生肉を巻きつけたり……どんなに工夫をしても、クマは食べないのだった。この作戦は失敗だった。

そして、先ほど県知事は、私たち県民に向けて新たな作戦を発表した。

「県は、人間が爆発物を飲み込んで、クマに食べられに行くのがいちばんだという結論に達した。マイナンバーの最後の数字が9の県民は全員、各市役所に来るように……」

風刺・戯文

パーカー

ある若い女性が、おじさんがパーカーを着ることに異議を唱えた。「40歳近くになってパーカーを着ているおじさんはおかしい」というのだ。

これに対して、おじさんたちは「おじさんがパーカーを着てなにが悪い。なにを着ようと自由ではないか」と猛反発をした。さらに「おじさんのパーカーはダメ」と発言した女性のもとに脅迫まがいのメッセージが届くようになった。パーカーおじさんは暇なのだ。女性は法的措置も辞さないと息巻いている。

現在のところ、この論争には決着がついていないように思えるが、私なりにパーカーおじさん論争の行方を予測してみよう。

若い女性たちとパーカーおじさんたちの対立は今後も激化するだろう。そして、若い女性たちは「パーカーを着ていいおじさんと着てはいけないおじさんがいる」と発言し、パーカーおじさんの固い結束に揺さぶりをかけるはずだ。

その結果、パーカーおじさん側の分派闘争に発展する。自分たちこそパーカーが似合うとする、「パーカー着ていいおじさん派」と、パーカーはあらゆるおじさんに開かれているとする「着るときはみんな一緒派」に分裂し、パーカーで血を洗う闘争が繰り広げられる。

そして、「パーカー着ていいおじさん派」が若い女性たちと同盟を結び、共同戦線を張ることが電撃発表される。この発表以後、パーカーを着てはいけないおじさんに対する組織的虐殺が開始される。

風刺・戯文

ポジティブ・シンキング

ネガティブな考えばかりでは、人生を損しているようなもの。なんだってポジティブに考えれば、生きるのが楽しくなってきます。

例えば、電車に乗り遅れるのはイラつく経験。でも「そのおかげで、ゆっくりと待つ時間ができた」と考えれば、腹も立ちません。街に出れば、ひどい混雑で、とてもストレスフルですが、そんなときこそノンキに人間観察してみましょう。富裕層さえ見なければ、きっと楽しくなってくるはずです。

外食しようと街に繰り出したのに、どこも満席で食べる場所がない。ならば、いっそのこと、家に帰ってホームパーティなどいかが? たったひとりでもかけがえのない経験ができるはず。

所持金が少ないのも、これは無駄遣いができないということだから、かえってありがたいですね。そして、お金のありがたみをもっともよく知っているのは、低収入のあなたでなくてなんでしょうか。

仕事が底辺? 底辺に降り立ったあなたがこう語っているところをイメージしてみましょう。「人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては偉大な一歩だ」 そうすれば、底辺を這い回るのだって、大冒険です。

年金がもらえないので、老後が心配ですって? そんなあなたは、野垂れ死という滅多にない体験ができるんです。今なら、野晒しチャンスもついてますよ!

なんやかんやでもう死にそう? このラッキー野郎! クソみたいな世界から早くおさらばできますよ!