まもなくバスは動きはじめた。姉ヶ崎駅を離れたバスは、ひらけた道路に出て長浦駅へと向かう。道路の右手には胴体の膨らんだ煙突や、窓のない巨大な建造物が立ち並び、見ていて飽きない。やがてバスはこの不思議な道から逸れ、姉ヶ崎よりも寂れた長浦駅に着いた。十五分はかからなかった。
バスのドアが開くと、やはり職員の方々がお出迎えだ。だが、乗客たちは急いでエスカレーターに向かう。私はのんびりした気分でいたが、乗客たちの動きを見て少し慌てた。電車の出発時間が近いのだ。姉ヶ崎駅と同じように専用のゲートを抜け、ホームに降りる。停車中の電車に乗り、私は木更津に向かった。
線路が使えないなどとはなんと不便だろうと思っていたが、そうでもなかった。帰りもそうで、木更津から長浦に着くともう姉ヶ崎行きのバスが待っていた。ただ、今度は帰宅する高校生でいっぱいだった。座れなかった年寄りの女性たちが「このバスに乗ったのは間違いだった」と悔やんでいた。私も立っていた。満員だったので暑くなり、上に着ていたシャツを脱いだ。
バスは姉ヶ崎に到着した。車窓から見ていると、やはりたくさんの職員たちが働いていた。鉄道会社の人、バス会社の人、それからたぶん市役所の人が道端に立ち、互いに合図を送り、足早に動いていた。これから忙しい夕方がやってくるのだ。バスを降りた私は高校生に囲まれながら、駅のエスカレーターに乗った。なぜか私は見送られているような感じがした。
姉ヶ崎駅のホームに着くと、次の千葉行きまで三十分あることがわかった。グムムと言いたいのを堪えて、階段の壁に寄りかかって静かに待った。