旅・観察

代行バス(1)

九月の末にやってきた台風のせいで千葉県内ではいくつかの鉄道路線に被害が生じている。私は今日、木更津方面に用があって出かけたが、内房線は姉ヶ崎と長浦の間で起きた土砂崩れのため、その区間だけバス輸送になっているという。

東京から高速バスに乗って木更津に行くことも考えたが、もう席がない可能性もある。私はどんなふうにバスが鉄道を繋いでいるかにも興味があったので、時間がかかるかもしれなかったが内房線で行くことにした。

十時前に千葉に着くと、ちょうど姉ヶ崎行きの電車が十時四分に出るというので乗る。二十五分後に姉ヶ崎に着く。ホームから改札口に上がると、職員が数名、乗客の案内をしていた。バス利用者には専用のゲートがあって、改札なしで通ることができる。出るとまず目につくのは「列車代行輸送 バスのりば」と書かれた表示と大きな赤い矢印だ。床面にも案内が貼られている。職員の動きと極太の赤い矢印のせいで、駅がソワソワしているように見えた。だが、乗客たちは普段通りだった。私は矢印に従って階段を降りてロータリーに出た。そこでは職員がバス乗り場のプラカードを掲げて立っていた。私はなんとなくうれしくなった。

広々としたロータリーには何台もバスが止まっていた。いつもはそんなことはしないのだが、思い切ってその女性の職員にどのバスか尋ねた。すると、向こうの入り口にあるバスを指差した。そのバスに向かって人々がパラパラと歩いているのが見える。バスに近づくにつれ、職員が増えた。

乗客の案内をする人、蛍光ベストを着たバスの誘導をする人、運転手、そしてバスの乗降口で切符や Suica をチェックする人、そしてなんだかわからないけど大事そうな人……。バスに乗ると私は席に座り、出発のときを待った。