だが、断るわけにはいかない事情があるのに気がついた。
というのも前日の日曜日、カレン人の大事なイベントがあり、私はそれも誘われていたのに断っていたからだ。イベントにはKNUのゲストが出席することも知らされていたし、友人が誘ってくれたのは私を紹介したいからだということもわかっていた。結局のところ、私は行くと返事をしたが、それは、むしろこの友人の厚意を二度も断りたくなかったからだ。
そして、池袋の焼肉屋に集まったのは、十三人の在日カレン人と私。しばらくすると友人が、近くのホテルからKNUのゲストを連れてきた。若いカレン人たちが入り口に立って、歓迎の花束を渡した。
会場は広めの個室で、お店も少しだけ高めだ。この店の系列店で働くカレン人がセッティングしてくれたのだという。
ゲストはKNU議長と若い幹部で、二つある大テーブルに別々に座った。私は議長の近くに座らされた。やがて、肉が出てくる。議長は日本酒を飲んでみることにしたようだった。
私は名前ぐらいは伝えたが、実際には議長と話すことはない。私は最近のビルマの状況については疎いので、あまりくだらない質問をしたくはなかった。
また、私はKNUの人を何人も知っていたが、そこで、あの人知ってる、この人知っている、KNUについてこんなこと知ってるなどと、KNU議長相手に釈迦に説法をおっ始めるほどバカではない。
それに、KNU内部にもいろいろな考えと立場がある。私を助けてくれた人が、別の人にとっては裏切り者だったりする。だから、余計なことは言わないのがいちばんだ。
そして、私については自分で言わなくても周りのカレン人がどんどん説明してくれた。これで十分だし、そもそもゲストと話すべきなのは、私ではない。他のカレン人、特に若い人たちだ。
そういうわけで私は、焼肉を食べるのに集中した。