ライブ

ニガミ17才@渋谷 CLUB QUATTRO

今も読まれているかどうかはわからないが、子どものころ、私はロックスター語録を愛読したものだった。そのうちのひとつの『ミック・ジャガー語録』に彼の発言としてこんなことが書いてあった。

「ボブ・ディランだって、真面目な歌を歌い終わったあとに『なんちゃって』って付け加えてるかもしれないんだぜ!」

私は、七月十七日、ニガミ17才の全国ツアーファイナルに行って、そんな言葉を思い出した。もっとも、ボーカルとギターの岩下優介さんは、一曲歌い終わった後に「なんちゃって」するのではなかった。ギターを弾いているときでも、歌っているときでも、客に話しかけているときでも、真面目な顔の後に必ずイタズラっぽい、あるいは照れたような表情が現れる。それは、真剣になりすぎないようにストップをかけているのかもしれないし、逆に真剣さを押し退けて「なんちゃって」が出てきてしまうのかもしれないが、いずれにせよそれは、観客たちに向けた、真面目に受け取らず、楽しんでいいんだ、という合図として機能していた。

その実例にふさわしい出来事が、ライブの初めにあった。メンバーの登場から最初の曲に移る演出のところで、しくじってやり直し、しかもそのやり直しもうまくいかなかった。だが、この過程自体が、そもそもの演出であったかのように見えるほど自然で、私は今も、これが真面目なことなのか「なんちゃって」なのかわからない。そのわからなさこそ本質的で、真剣さとふざけの間の境界の上をうまく微調整しながら歩いてみせるのが、このバンドのもっとも真剣なところだ。

ツアーファイナルということで「最高の夜にしよう」というMCがあったが、私は最高の夜がよくわからないし、そんなものがあるとは信じてもいないが、「これはライブで味わえる最高の瞬間だ」と言える瞬間は間違いなくあったので、最高の夜だったと言えるかもしれない。なんちゃって。