「ニヤる~話を3つ用意しました~」というタイトルで、ひとつ三十分強の漫談を三つ、合わせて一時間四十五分の公演だった。私が見に行ったのは夜だ。
内容については「終わったら忘れてください」というので書かない。どの漫談もみなみかわ自身の一人称の語りで、フィクションではなかったが、フィクションとしての構造も、どんでん返しもあった。とくに良かったのは、一つ目と三つ目で、一つ目はコメディ映画になりそうなアイディアを実行してみた話、三つ目はある意味ではホーム・アローンのように悪者を撃退する話だった。
また、どれも倫理がテーマになっていた。一つ目は倫理的であろうとするあまり生まれたコメディ、二つ目は反倫理的行為の追求、三つ目は倫理的でないものを、倫理でもって「成敗」するもので、観客もやっつけられる側にあったのが面白いところだ。
倫理のある笑いというのは、なにも道徳的なことを主張するような堅苦しいものではない。笑いのテーマや方法の根っこに倫理、あるいは倫理から生まれた怒りやいらだちがあるということだ。そうした倫理がなくても笑いは生まれるし、そういう笑いもあってもいいと思う。ただ、倫理は、人間関係や善悪の判断がそうであるように、社会的なものだ。だから、そこから生まれる笑いは、程度の差はあるにしても、社会のあり方を反映したものになる。私はこんなふうに社会に触れてくる笑いが好きだ。
ところで、最初の漫談で、ちょっとしたトラブルがあった。みなみかわさんは大きな声で慌てていたが、何かトラブルがあったときに、黙ってトラブルを解消しようとするよりも、明るく騒いだほうが見ていて安心できるのに気がついた。私も人前で話すときになにか問題が生じたら、派手に困ってみせようと思う。