風刺・戯文

ヒトが木から降りたワケ

《人類が地上に降りた理由、新説発表》

初期人類がどうして木から降りて地上で暮らし始めたのか、霊長類文化リサーチセンターの吉田三郎博士が新説を発表した。およそ 900 万年前にアフリカ熱帯林で木の形態に生じた変化が、地上に降りたきっかけとなったことを、樹木の化石の分析によって裏付けた。研究内容は、今日にも学術誌『サイエンティフィック・ベンチマーク』に掲載される。

ヒトがいつ地上で二足歩行の生活を始めたのかは、これまでもさまざまに議論されてきた。吉田博士は、「そもそもなぜ樹から降りたのか」という疑問を解明するため、900 万年前の樹木の化石を比較検討し、樹木に生じた形態的変化が、ヒトを樹上生活から「排除」したことを明らかにした。

「これらの化石からわかるのは、当時の樹木が、わざとらしく突起に覆われていたり、取ってつけたような手すりや仕切りがあったり、意地悪く鋭く斜めになっていたり、つるつるだったりと、ヒトがのんびりと寝そべったり、ゆっくりと休めないような形状に進化していたことです」

このことから、ヒトはおよそ 900 万年前に樹上生活を諦めて、地上生活を始めざるをえなくなったと考えられるという。吉田博士は、この樹木の変化がヒトに与えた影響をより明確にするために、現在、東京都内の駅や公園のベンチの調査を始めている。(ザンゲー通信)

風刺・戯文

猿とそのプロジェクト

X大学の霊長類研究センターは、国内唯一の霊長類(サル、チンパンジー)の総合的研究拠点である。その研究は、霊長類の進化、ゲノム、社会生態、思考、言語、認知学習、脳機能など多岐にわたり、日本のみならず、世界の研究をリードしてきた。

特に名高いのは、メスのチンパンジー、メイをめぐる研究である。研究所の推進するプロジェクトにおいてメイは、文字や数の学習を始め、高い知能があることを示した。さら、認知行動能力も高く、絵を描き、ブロックを組み合わせる様子は、メディアを通じて広く知られている。しかし、世界の研究者をもっとも驚かせたのは、メイが、人間とコミュニケーションを取るという高度な社会的能力を持っていることであった。

こうした輝かしい成果を誇る霊長類研究センターであったが、メイに関する研究プロジェクトの主導者にして、センター長を務める世界的な学者、Z教授による数億円に上る研究費の不正使用が発覚し、その名声は地に落ちた。X大学はただちに調査を行い、報告書を公表するとともに、Z教授を懲戒解雇処分とした。Z教授は声明を発表し、すべての疑惑を否定するとともに、今回の事件には「裏」があることをほのめかした。しかし、大学はこの声明を黙殺し、研究センターを解散し、「人類研究センター」とする組織改編を発表した。

そして、先日、センター長にメイが就任することが明らかになった。