風刺・戯文

リベラル密輸事件

人々が東京湾の海上でその怪しい船を拿捕し、その積荷を見たとき、驚き、憤らずにはいられなかった。船倉はリベラルの票でぎっしりだったのだ。

「これは外国勢力によるリベラル票の密輸だ。リベラルどもはこの票を使って選挙に勝ち、日本を外国に売り飛ばそうとしていたのだ」

たちまち警察が関係各所を捜査し、密輸を企てたリベラルどもを一網打尽にして芋づる式に逮捕した。

船から見つかった大量のリベラル票はといえば、倉庫に搬送され、事件の重要な証拠としてまとめて保管されることになった。捜査が進展すると、証拠をさらにしっかり調べるために、捜査員たちにこんな命令が降った。

「密輸事件のリベラル票をすべて持ってくるように」

捜査員たちは倉庫に向かった。倉庫に入り、奥の方へと歩いていくと、プンとイヤな臭いがしてきた。次第に強まりゆくその悪臭の中を歩いていくと、その先に「証拠、リベラル票」と書かれた箱がいくつも積まれていた。腐ったような臭いを発しているのはそれらの箱なのだった。

捜査員たちはあまりの臭さに吐きそうになりながら、その箱を開け、中身を見てびっくりした。

地球温暖化を見くびっていたのだろうか、リベラル票の保存と温度管理が適切でなかったせいで、みんな腐って保守票になっていた。

苦い文学

セクシャル・コンセント・マターズ・ハラスメント

今日、安全なセックスを求める男性たちが、国会議事堂前に集まり、怒りの声を上げました。

「性的同意は大事だ!」「尊重しろ!」「同意のない現状を変革せよ!」

(デモの主催者)「私たちは性的同意を求める男性の会です。性的同意は、安心安全なセックス・ライフを送るために不可欠なのです」

デモの参加者「ええ、まったく性的同意がないこの状況をなんとかしたくて、(デモに)参加しました。もうどこを探しても性的同意がないのです。どの薬局、どのコンビニでも品切れ状態が続いており、もう我慢の限界です(と股間を押さえる)」

別のデモの参加者「昔は小さな自販機で売っていたものですがね……えっ外国産の同意ですか? 日本の同意でないと漏れがありそうで怖いですね」

(機動隊と対峙するデモ隊がシュプレヒコールを上げる映像)「性的同意不足を解消せよ!」「吉本芸人とスポーツ選手による不当な買い占めはんたーい!」

性的同意の専門家は「政府は備蓄している古性的同意を早急に市場に放出すべき」と対策の必要を訴えています。

苦い文学

病なき世界

それほど遠くはない将来、私たちの社会から病気というものが一掃されるだろう。

風邪も、腰痛も、水虫もなくなる。もちろん、我々がこれらの病に罹患しないというわけではない。私たちの体内に組み込まれた人工的なメカニズムが、私たちが気がつく前にそれらの病を抑え込んでしまうのだ。

風邪もないのでその世界では咳は存在しない。鼻炎もないから、鼻をすすると「なんの音だ」と周りに人がわらわら集まってくる。そんな音を聞いたことがないのだ。

もしかりに誰かが痰を吐いたとしよう。世紀のニュースだ。まるで日本オオカミが見つかったみたいな騒ぎだ。痰を見ようと日本中から人がやってくる。列を作って並んでる。それだけじゃない、痰を吐いた人のほうも、あっちこっちのイベントで痰を吐いてくれと声がかかる。もうひっぱりだこだ。

「ぜひ明日、フードコートで、痰のほうを、ひとつぜひ……お願いできませんかね」

「いえ、申し訳ありませんが、明日は皇室の晩餐会で、痰吐きを披露する予定でして……」

苦い文学

韓国の優先席

韓国の友人と電車に乗った時、その人が、韓国では電車やバスの優先席には絶対に座ってはいけない、と教えてくれた。

日本みたいにうっかり座ると、叱られるのだという。

「周囲の人がそうやって注意するんですね」 そう私がいうと、その人は言った。

「違いますよ、お年寄りが怒るんです。ひどい時には、杖で叩かれたりします」

「そんなに元気なら座らなくてもいいでしょうに」

「韓国では年上の人が絶対なのです」 つまり、元気かどうかは関係がないというのだ。

「だから、韓国に行ったら、優先席には座らないでください。いえ、その近くにも行かないほうがいいですよ」

「近くもダメですか?」

その人はうなずいた。「私は優先席の近くにいるだけで震えがくるくらいです」

「そんなに!」

家に帰ってネットで調べて見たら、確かに「韓国では若者は優先席には決して座らない」というような記事がいくつもあった。

そんなわけで、今後、韓国に行こうという人は、優先席での無用のトラブルを避けるため、もっともっと老いぼれた上で渡航していただきたい。