オールスタンディングのライブに行った。開場時間の前に着くと、すでに会場の入り口には人が群がっていた。待っていると、やがてスタッフが姿を現し、まもなく開場であること、整理番号順に呼んでいくので、チケットを用意しておくことなどを告げた。そして、時間が来て入場が始まった。
入り口に立ったスタッフが声を上げる。
「整理番号1番の方」
群れの中からひとりが歩み出て、携帯の画面をスタッフに見せる。このときから私たちすべてはこの人の背中を追うものとなったのだ。
「整理番号2番の方、3番の方」 スタッフは次々に番号を呼び、その度に客が中へと吸い込まれていった。私は249番だった。
「整理番号20番の方、ただいま20番までお呼びしています」 間に合わなかった人々がパラパラと入場していく。
番号はどんどん進んでいった。「整理番号47番の方……52番の方……60番の方、ただいま60番まで入場できます」 係の人はよく番号を忘れずにいるものだ、と感心する。私なら途中で何番まで数えたか忘れてしまうだろう。
整理番号が70番になった。70番目の客を通過させたスタッフは、入場待ちの客たちに呼びかけた。
「もう少し前に詰めてお待ちください」
番号の早い人々が入場してしまったので、前の方にスペースができていたのだ。人々は前進した。私もどんどん進み、一番前の空間に入り込んだ。249番なので呼ばれるのにはまだ間があった。だが、スタッフの命令は絶対だ。それに、そうするだけの理由もあった……。