初めてチュニジアに行ったときのこと、私はチュニジア人の友人たちと家で食事をすることになり、パンを買ってくるように頼まれた。パン屋に行って、バゲットを四本ぐらい買って戻ると、こう言われた。
「なんでこんなに買ってきたんだ。固くなっちゃうじゃないか」
日本のスーパーで買う食パンは長持ちするので、私はその感覚のまま買ってきてしまった。チュニジアでは、宵越しのパンは固くなってしまう。ナマモノだ。
もちろん、だからといって、パンが残らないわけではない。チュニジアには、固くなったパンを食べるためにできたという料理がある。それがラブラービーだ。
これはドンブリに、パンをちぎって入れて、その上にヒヨコ豆とスパイスの入った熱いソースをかける料理だ。ただかけるだけではなく、スプーンでパンを潰して粥状にして食べる。半熟卵を入れることもある。
昨日のパンをできるだけ早く食べてしまいたいからなのかどうかわからないが、ラブラービーは朝の食べ物だ。家庭料理というより、お店で食べるもので、人気の店は早朝から客が列を作っている。
お店に入ると、ドンブリとパンを渡される。そのパンを自分の流儀でちぎってから、ソースをかけてもらう。そして、かき混ぜる。この過程も楽しい。由来はどうあれ、お店で提供されるのは、一晩じっくり寝かせたカチカチのパンではなく、柔らかいパンだ。
(写真:ラブラービー、かき混ぜる前)