なぜ日本の演出家はパワハラとセクハラをしがちなのだろうか。
そのヒントは歌舞伎にあった。
歌舞伎の戯曲は、狂言と呼ばれる。これを書くのが狂言作者だ。
狂言作者は、かつては立作者というリーダーを中心としたチームからなり、上から一枚目、二枚目、三枚目、四枚目、五枚目と分けられていた。
一枚目である立役者は自分でも書くが、場面によっては、下の作者に指示を出して書かせ、その書いたものを添削して、狂言全体を作り上げていく。
下位の狂言作者(四枚目・五枚目)は、狂言方とも呼ばれ、狂言の清書などを行うほか、役者の稽古に立ち会って、セリフをつけたり、役者の質問に答えたりする役目も担う。
いっぽう、歌舞伎の役者は、狂言に合わせて自分の演技を作っていく。狂言そのものにも演出の指示が書かれているが、その指示を巧みに実現していくのも、役者の仕事である。
つまり、歌舞伎には演出家というものは存在しない。その役目を行うのは狂言作者と役者だ。我が国の舞台には伝統的には演出家は必要ないのだ。
もともと不要のものだから、我が国の演出家は暇すぎてパワハラとセクハラをするのだと考えられる。