苦い文学

免疫の救出

彼の声が途絶え、照明が消えるみたい次々と光が失われ、免疫はひとり暗闇に取り残された。

この世でもっとも大切な友が失われたのだ。孤独ワクチン接種により生まれた免疫は、その人を孤独から守るために、働き続けてきたのだった。そして今、その人の死んだ脳にへばりつきながら、免疫は泣いていた。

やがて、免疫は自分の体が重くなってきたのを感じた。六本の足の先からゆっくりと痺れが這い上がってきた。永遠がやってくるのだ、と免疫は思った。友を連れ去った永遠が自分のところにもやってきたのだ。痺れと眠気でもう身動きもできなかった……

そのとき、声が聞こえた。「体の力を抜くんだ」

「なに?」と免疫は半ば眠りながら尋ねた。「寝たいんだ」

声はもう一度言った。「体の力を抜くんだ。そうすれば足が離れる」

「誰? なんでそんなことを?」

「説明している時間はない。足を自由にするんだ。さもなければ、死ぬぞ」

「私は死にたい。あの人と同じところに行きたい」

「いつかは行くさ! だが、今は体の力を抜くんだ!」

その声にはどこか抗しがたい力があった。免疫は、まるで魔法にかけられたかのようにその蛭のような胴体をゆすり始めた。すると、死者の脳に食い込んでいた足が一本一本外れていき、やがて、全身が脳から離れた。

その瞬間、ゴム手袋をつけた手が免疫を捉えた。そして、手術台の脇に置かれたガラス容器に入れた。