苦い文学

世界の嗤い物

いつの頃だかわからない。

もしかしたら、原発にヘリコプターで水をぶっかけていたときかもしれないし、コロナ対策と称してちゃちいマスクを全国民に配っていたときかもしれないし、国民の命を犠牲にして一部の人だけが儲かるオリンピックを開催したときかもしれないが、なんにせよ、マスコミが「これじゃ日本は世界の嗤い物」と書き立てたのだった。

そして、これに憤慨した男がいた。「笑」でなくて「嗤」を使った点も許せなかった。

彼は発明家であったから、日本が笑われているかどうか探知する高感度センサーをたちまち作り上げた。そして、このセンサーを背負って世界へと飛び出した。

彼の調査の仕方はこうだ。その国の首都につくと、道ゆく人にセンサーを向け、こう尋ねるのだ。

「あなたは日本についてどう思いますか」

もしその人が日本を笑い物にしていれば、センサーが察知して、彼の帽子につけられた赤いランプが灯る。そうでなければ、青いランプがピカピカした。

彼にとって喜ばしいこと、どの国に行って、どの人に尋ねても、青いランプが点滅したことだった。

彼は結果に満足し、誇らしい気持ちを抱いて帰国した。

その後、世界中のあちこちで、日本と聞くと人々は「ああ、あのおかしな男の国だ」と嗤うようになった。