苦い文学

非対面世界(7)

次の授業の時がやってきた。彼が Zoom を立ち上げると、次々と学生たちの名前が表示された。その中に、例の学生の名前が含まれているのを彼は確認した。

授業開始時間になった。だが、彼は授業を始めなかった。教科書を開けろとも言わなかったし、用意した資料を画面共有しようともしなかった。

その代わり、彼はあの学生の名を呼び、カメラをつけるように求めた。もしそこに女子学生でなく男子学生が現れたら、徹底的に追及してやろう、そう決心していたのだった。

彼はもう一度名前を呼んだ。「カメラをつけてください」 

黒い画面が消滅した。女か、男か、コインが投げられたのだ。そして、顔が映し出された。

老人。両口脇と唇の下から三本のナマズ髭を生やした老人が静かに彼を見つめていた。髭の先は画面の外で見えなかった。

彼は唖然としたが、すぐさまマイクを通じてこの老人に名前を確認した。すると、ナマズ老人は表情を変えずにカメラを消した。

「カメラをつけてください! カメラをつけてください!」 彼は大声で繰り返し、急いで Zoom のチャットを開くと、この学生に向かってメッセージを送った。

《カメラをつけてください。カメラ! つけなければ欠席にしますよ! カメラ!》

その瞬間、その学生の名前がリストから消えた。退室したのだ。「逃げた!」 彼は思わず叫んだ。怒りが込み上げてきて、彼は一人一人の学生の名を呼びはじめた。カメラをつけさせ、顔と性別を記録していった。出席者全員終わったときには、授業終了時刻をとっくに過ぎていた。

彼はすべての学生を退出させた。Zoom を終了し、パソコンを閉じた。すると、携帯が鳴った。出ると、直ちに教務課に来るようにとのことだった。