ここで彼は、代理出席業者を使っている学生に対してどのように臨むべきか、つまり、放置するか、追求するか、の二つの選択肢の間で迷うこととなった。
同僚の意見にしたがえば前者だ。これはいかにもおかしな意見のように思えるが、実のところ理にかなっている。少し長くなるが説明しよう。
まず、日本は少子化のためどの大学でも学生を集めるのに苦労している。
そのため、留学生、特に金払いのいい中国からの留学生を受け入れるのはどの大学にとってもメリットのあることだ。
しかし、すべての留学生が大学で学べるだけの能力があるわけではない。日本語は最低でも N2 が必要だし、基礎的な学力も重要だ。その結果、日本の大学に進学できる留学生というのはそれなりに絞られることになる。また、大学自体にも受け入れ能力に限度があり、通常は(まともな運営をしていれば)、手当たり次第に留学生を入学させるということにはならない。
だが、世の中には、まともでない大学もあるのだ。彼の働く大学のように、日本語がろくに話せなくても、どんどん留学生を受け入れてしまう大学が。その理由はもちろん金になるからだ。
だが、そもそも、なぜ日本語の能力に欠けた学生が日本の大学に入るなどということがありうるのか。これを理解するためには留学生の実態を知らなくてはならない。