地獄の使者がやってきて、私に頼み事をしてきた。
地獄で鬼をたくさん雇い入れたいから、鬼にうってつけの人材をできるだけたくさん紹介してくれというのだ。
「それは新卒限定ですか、それとも既卒でもいいので?」
こう聞くと「鬼卒だ」との答え。要するに誰でもいいのだろう。
もし、日本に鬼の求人があれば、それを参考にするのが一番だと思い、いくつかの就職サイトや転職サイトを覗いてみたが、そんなものはなかった。顕界にあらざる鬼は非公開求人という可能性もある。
私は尋ねた。「そもそも鬼にうってつけの人材ってどんな人でしょうか?」
地獄の使者の答えは明解だった。「まず、責め苦を躊躇なく行う冷酷さが必要だ。そして、その責め苦を永遠に反復できる知性のなさも兼ね備えていなくてはならない。鬼には罪人への同情など禁物だから、ぜひとも、弱者への軽蔑と権威を笠に着る心がけの持ち主であってほしい。それと、忘れてはいけないのは、ユーモアの欠如だ。鬼に許された笑いは嘲笑だけだからな」
私はそれを聞くや、ピンときた。
「そういう人材ならここにたくさんいます」と見せたのは、Yahooニュースのコメント欄。
コメントを次から次へと読む地獄の使者は、「ヤフコメを書く人々こそ、鬼にぴったりです」という私に、満足げにうなずいてみせたのだった。
「ところで、どうしてそんなにたくさん鬼が必要になったのでしょうか」と私は尋ねた。
「ああ、それは、将来的に地獄に連行される人が激増するという見通しだからだ……君もせいぜい気をつけたまえ!」