苦い文学

冷蔵庫

今使っている冷蔵庫は20年も前のもので、壊れてはいないが、そのうち壊れること必定なので、近くの家電量販店に新しいのを買いに行った。

物の良し悪しもわからずに並んでいる商品をただ見ていると、店員が話しかけてきた。

小柄な若い女性で、いろいろ質問するとすらすらと答えてくれる。

彼女の説明を参考に、候補を絞り、買うのを決めた。

支払いのとき、店員はいろいろと保証を進めてきた。押し付けるようではなく、いやな感じはしなかったが、すべて断った。配送の日取りなどもテキパキと済ませてくれた。

すべてが終わり、私が立ち去ろうとすると、その店員は名刺を渡してくれた。それを見て私は驚いた。

ベトナム人だったのだ。

ずいぶんいろいろ話したのだが、私はまったく気が付かなかった。これでもかなりのベトナム人学生と接してきたつもりだが、私の経験とやらもそれまでのものだったのか、それとも彼女の日本語能力が高かったのか。

なんにせよ、こうした若い人々が能力を発揮できるというのはいいことに違いない。

私はたまたまベトナム語の「Cảm ơn chị(女性に対して)ありがとう」を教えてもらったばかりだったのだが、発音に自信がなかったので、言わずに立ち去った。