苦い文学

校長の言葉

みなさん、本日は開校式においでいただきありがとうございます。

思い起こせば 30 年前、私が日本語教育を学ぶ一人の学生であったとき、恩師服部先生と、こんなやり取りをしたことが思い出されます。

「どういう日本語教師がよい教師だと思うかね」と先生がおっしゃいました。

私は単純にもこう答えました。「なんでも知っていて、学生たちの質問にすぐに答えられる教師です」

すると、服部先生は柔らかい口調で反対しました。

「いや、これが違うのだ。それでは、学生たちは教師に頼り切りになってしまう。本当によい日本語教師というのは、学生たちに余計な介入をしない、いわば、学生たちの前で姿を消すことができる教師なのだ。そうやってこそ、学生たちは自分自身で学ぶ力を育むことができるのだ」

私はこの言葉を聞いて以来、服部先生のおっしゃるような「良い教師」たらんと努め、さらには「姿を消す」優秀な教師たちが集う素晴らしい日本語学校を作りたいと念じてまいりました。

そして、その念願が今、ここに実現したのであります。私たちの新しい日本語学校が、この伝統ある地に根付き芽生え、多くの学生たちを草として日本中に送り込めるよう、教員一同邁進してまいる所存でございます。

伊賀忍びの里日本語学校校長
嗣永三太夫