エリザベス・キューブラー=ロスは、その著『死ぬ瞬間』で、死にゆく人間は五つの段階を経て、死を受け入れていくと語っている。
これは「五段階の死の受容プロセス」としてあまりにも有名であるが、ここに簡略に述べると次のようなものである。
第1段階 「死の否認」(自分が死ぬことを認めない)
第2段階 「死への怒り」(死という理不尽に対して怒る)
第3段階 「神との取引」(死を避けるために「神」にすがる)
第4段階 「抑うつ」(絶望と無力感の段階)
第5段階 「受容」(安らかに死を受け入れる)
キューブラー=ロスのこの死の受容プロセスには批判もある。
そのうち主要なものは、実証性に欠けるというものだ。『死ぬ瞬間』は、200人の死にゆく人々との対話がもととなっているというが、それだけではこのプロセスの存在を証明するのに不十分であるというのである。
そこで、この死の受容プロセスを科学的に検証・証明する研究が必要となる。私はかねてからこの問題に取り組み、現在、「死の受容プロセスの客観的実在性に関する実証研究」という題目で実験を進めている。
実験はわかりやすくいえば、死んだばかりの死者を対象とし、死後硬直が始まる前に、死の受容プロセスを逆向きに(「受容」>「抑うつ」>「神との取引」>「死への怒り」>「死の否認」)体験させるものである。
これで死者が生き返れば、死の受容の五段階は十分に科学的なプロセスであると結論づけられよう。