苦い文学

帝王のダイエット(プラトン編)

もっとよいダイエット法を教えよ、さもなければ縛首じゃと息巻く帝王に、賢者デリヘルスは次のように答えたのだった。

「帝王よ、ソクラテスの弟子にプラトンという哲人がおります。このプラトンが長い思索のすえに編み出したのがテオーリア式というダイエット法にてございます」

「はて、テオーリア式とは?」

「テオーリアとは観想とも呼ばれております。これは心身を集中して理想世界にある対象を直感することであります」

「なんじゃなんじゃ、もっとわかりやすく申せ!」

「これをいいかえますればすなわち、痩せたい自分をイメージして痩せるという方法でございます」

「痩せたい自分をイメージすると?」と大王思わず呆れた笑いを漏らす。「うーむ、そのような山手線のエステの広告にありそうな文句はたくさんじゃ!」

「おお、賢明なる帝王よ、その通りでございます。このテオーリア式を批判したのが、実にプラトンの弟子のアリストテレスでございました。テオーリアなどよりも、まずは体を動かさねばならぬと主張したのでございます」

「してそれは」

「逍遥にてございます」

「ショウヨウとは?」と怪訝な顔つきの帝王に向かって賢者デリヘルスが放った言葉とはいかに?