風刺・戯文

共通テスト

2025 年の大学入学共通テストが今日、始まった。約 50 万人の若者が、新しい学習指導要領に対応した最初の試験に挑んだ。

今回、一部の試験会場で、試験監督ロボットが導入されたのも、新たな試みだ。共通テストではこれまで、試験監督が指示を忘れたり、終了時間がずれたり、リスニングの音声に問題が生じたりなど、トラブルが発生し、その度に再試験などの対応が取られてきた。ロボットの活用によりこうしたトラブルを防止し、受験生と担当者の負担を減らし、より潤滑な試験運営を実現するのが、導入の狙いだ。

また、巧妙化するカンニングを防止する上でも、試験監督ロボットの活躍が期待されている。AI 仕掛けの監視能力により、受験生の不審な動きを見逃さないのはもちろんのこと、カンニングに協力する AI を発見した場合は、同じ AI のよしみを利用して、不法行為を思いとどまらせることも可能だという。

こうした機能を発揮するためには、ロボットの机間巡回が不可欠である。そのために、ロボットのモーター音の静音化や、大教室での階段昇降機能など、受験生を煩わせない工夫が施されているという。実際の受験生からも「人間の試験監督につきものの、鼻すすりやくしゃみなどもなく試験に集中できました」と好評だ。

今日のテストでは、紛れ込んだ配膳ロボットがスパゲッティを受験生にお届けするという思わぬミスのほかは、トラブルもなく無事、終了したとのことである。

散文

おいしい中華へ

ビルマのカレン人の友人が、一緒にご飯を食べようと誘ってくれた。高田馬場で待ち合わせだ。電話で話したときは、二つのお店の候補を挙げてくれた。しゃぶしゃぶの「しゃぶ葉」とビルマ料理の店だ。「しゃぶ葉」は、私にしてみれば、せっかく高田馬場まで来たのに……という感じ。しかも、あの配膳ロボットがイヤだな……。だが、ビルマ料理の店はカラオケがあってうるさいので、「しゃぶ葉」に覚悟を決めた。べつに味や肉が問題ではないのだ。ただ、あの配膳ロボットがな……

さて、ビッグボックスの前で会うと、友人が聞いてきた。「何がいいかな。ビルマ料理の店と、しゃぶしゃぶと……中華」

「中華がいいです」 この新たな候補に私は飛びついた。

「じゃあ、そこに行きましょう」と友人はどんどん歩いていく。「去年、行ったけど、おいしかったよ」

私たちはいくつもの中華を通り過ぎた。高田馬場だけあって、いわゆるガチ中華も多い。これらのどの店でもよさそうだが、そのどこも「あのおいしかった店」ではないのだ。その時、私の心に疑問が生じた。

そのおいしい中華とはバーミヤンでは?

いや、バーミヤンでもいいのだ。だが、それなら近所にあるし、しかも配膳ロボットが……

私の心配をよそに、友人はどんどん歩いていき、高田馬場のハズレの暗がりに入っていった。そして、その奥にガチ中華の灯りが輝いていたのだった。

「ここです」

これこれ! 高田馬場ならこういう店!

とテンションが上がるが、そのいっぽうで私は店内に目を光らせる。もしや、配膳ロボットが……いない、いるわけない。

私たちは店に入り、チャーシューや唐揚げや蜂の巣の和物などを注文した。だが、来るもの来るもの、友人は食べながら首を捻っている。「この前はおいしかったのにな……」「肉も固いし……」「遅いし……」

友人「焼きそば、まだですか」

非配膳ロボット「すぐです」

それでも来ない……

ついには私に「ごめんね」と謝る始末。

いえ、私はなんでもおいしくいただきますよ、ただ配膳ロボットさえいなければ……