風刺・戯文

言語の変化

言語はどうして変化するのだろうか。いろいろな考え方がある。正しい言葉を使わないからだという人がいる。例えば「ら抜き言葉」がそうだ。「言葉の乱れ」が原因なのだ。

また、人間の楽をしたいという欲求が言語を変化させるのだという人もいる。ら抜き言葉も、「ら」を抜いても意思疎通に困らないのなら、なくてもいいじゃん、てことでなくなった、というのだ。

他にもいろいろな考え方があるだろうが、言語が変わるのは、結局のところ、人間が話しているからだ、ということになる。人間が変化を起こすのだ。

もっとも、変化が起きにくい環境がある。それは書き言葉だ。書くときは話すときよりも、文法や語彙の「正しさ」に注意が向くため、書き言葉はいつも話し言葉よりも古く、変化しにくい。

しかし、最近、いつだって正しい言葉を使い、楽をしたいという怠け心も起こさない存在が現れ、世界中のあちこちで話しはじめた。AI だ。

だから、AI の話す言語は変化をしない。するとしても、人間が話すほどではない。なので、たとえ、ネットに現れる新たな言葉遣いの学習を続け、絶えずそれを取り入れるとしても、AI の話し言葉は古く、変化しにくいだろう。

そのいっぽう、人間がますます AI に頼るようになると、人間の話し言葉も AI に似てくる。そしてその分、AI も変化を促すようなデータに出会うことがなくなり、ますます変わらなくなる。それをまた人間が真似をする。

これが繰り返されるうちに、人間の言語は変化を止めるだろう。

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苦い文学

アウシュヴィッツ訪問(1)

人間には利口な人と愚かな人がいる。そして、利口な人は利口な方法を使い、愚かな人は愚かな方法を使う。なんでもふたつの方法があるのだ。そして、アウシュヴィッツの行き方にも、利口な行き方と愚かな行き方がある。

まず、利口な行き方から説明しよう。利口な行き方をする利口な人とはどんな人だろうか。旅の計画をちゃんと立てる人である。何ヶ月も前にだ。そんな人は、いついつにアウシュヴィッツを訪問すると決めたら、すぐに予約をとるべきだ。

予約には少なくともふたつのタイプがある。まず何らかのツアーに参加することだ。日本発のツアー旅行でもいいし、ポーランド国内のツアーを予約してもいい。アウシュビッツ訪問の起点となるのはクラクフだが、ツアーに参加すれば、クラクフからアウシュヴィッツまでの往復も心配しなくて済む。

もうひとつのタイプは、個人で訪問するというものだ。その場合は、自分でアウシュヴィッツ(より正確には「国立アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館」)の予約をしなくてはならない。

予約は専用のサイト(https://visit.auschwitz.org/)でできる。ただし、英語、ポーランド語の2言語しかない。

(画像は博物館の入り口)

苦い文学

温暖化

地球の温暖化が進んでいる。

このまま行くと日本は春も秋もない二季になるのだという。

だが、もっと大胆な予測によれば、その先に待ち受けているのは一季、つまり夏だけだという。もはや四季は季節外れなのだ。

いや、それでも四季は保たれる、と主張する人もいる。

その意見によれば、日本は「すごく暑い夏、ものすごく暑い夏、殺人的に暑い夏、地獄の夏」の四季になるのだという。

いずれにしても大変なことだ。

だが、私が思うに、地球の温暖化よりももっと重大な危機をもたらす温暖化があるのではないだろうか。

それは、人類の頭の温暖化だ。

今、人類の頭の中がカッカカッカするようになってきているのだ。

ホリエモンがいつもあんなに怒っているのもこの頭の温暖化のせいだ。

いやそればかりではない。プーチン、金正恩、習近平らの頭がチンチンなのもそのせいだ。この温暖化も剣呑なのだ。

頭の温暖化の仕組みは、まだ十分に解明されていない。指摘されているのは、頭の中に陰謀ロンというガスが発生して、脳の沸騰をもたらすメカニズムだ。

温室効果ガスの削減も重要だが、陰謀論にガスった頭の対策も急務なのだ。

ぜひ国際的な場での論議の盛り上がりを期待したい。

苦い文学

インディーフォークの陥穽

韓国の音楽はずいぶん前から細々と聴いていたのだが、本格的に聞くようになったのは、去年の3月ぐらいからだ。サブスクを利用するようになったことが大きい。

それから1年半、私はひたすら韓国の音楽を聴いてきた。はじめはいわゆる K-pop ばかりだったが、最近はインディー系のほうが多くなった。

だが、さすがに1年半も続くと、別のものが聴きたくなってきた。明るくて、にぎやかなのが多いので、少し疲れてきたのだ。そんなとき、Apple Music の「インディーフォーク」というプレイリストに出会った。

フォークに、ひねくれ、暗さ、歪みが加わったような曲が多く、私はたちまち虜になった。

プレイリストはほとんどがアメリカのミュージシャンだ。知らない名前ばかりだが、Fleet Foxes や Beirut、Damien Jurado など馴染みの名前もある。

私が特に気に入っているのは、Benjamin Gibbard & Feist の “Train Song” と Alex G の “Miracles” だ。“Train Song” は 2009 年の曲(原曲はもっと古い)、“Miracles” は3週間ほど前に出たばかりだ。

物悲しさと、あやしい暗さがある名曲だ。私はこの2曲ばかりもう何度も繰り返して聴いた。

すると、どうだろう、私はだんだんと孤独な気分になり、世をはかなむようになってしまった。

これはどうにかしなくては、と思っていると、同じ「インディーフォーク」中の1曲が目に止まった。

Wilco の “How To Fight Loneliness” だ。

もしかしたら、ここに「孤独と闘う方法」があるかもしれない、と思って私はさっそく聴いてみた。

“How to fight loneliness, Smile all the time…”
(孤独と闘うには、いつでもスマイルだ……)

さらに気が滅入ってきたので、結局、韓国の音楽に戻ることに決めた。