風刺・戯文

痩せすぎ問題

現代の日本人女性は「貧困国レベル」に痩せすぎているとの報道にショックを受けた日本社会で、新たな動きが生まれているようです。特派員のリック・オルターゴットが報じます。

「私たち日本人男性はこの現状に危機感を抱いています」と結成されたばかりの女性支援団体の代表は語ります。

若い女性の低体重の問題は日本社会で取り組まねばならないことだと、この代表は強調しています。

「なぜなら、若い女性の健康問題は、日本人の少子化の問題に直結しているからです。私たち国を愛する日本人男性は、少子化の解決のために若い女性の参画が不可欠だと確信しているのです」

代表はそのための解決策を提案しています。

「これをみてください」

(代表が丸い物体を差し出す)どうやらの石の人形のようですね。これはなんでしょうか。

「縄文時代から出てきた、ふくよかな女性の土偶です。私たちはこれを日本中の若い女性にプレゼントすることで、女性の意識を変えようと考えています。より効果を高めるために、日本各地のパワースポットにも埋める予定です」

この代表の脳も痩せすぎているのではないか、との印象を受けました。以上、リック・オルターゴットでした。

苦い文学

戦時下の炎上

不逞国家の征伐作戦を実施している我が国の軍で、とんだ不祥事が発生した。

高田陸軍大将が、SNS の個人アカウントに「お前は偉くないので、生き残ってくださーい。敗軍の捕虜でーす」と投稿していたことが明らかになったのだ。

これは先日開催された開戦記念日式典における市川陸軍大将の発言「今回の世界大戦においては、国のために命を捧げて死んだだけで偉いので皆、二階級特進である」に対する揶揄であると解釈されている。高田陸軍大将と市川陸軍大将はかねてから不仲であることが知られている。

高田陸軍大将はすぐに投稿を削除したが、その投稿を写したとされる写真がネットに拡散し、我が国のネチズンたちの非難と怒りを引き起こした。

「戦場で死ぬのは名誉なことですよね?」
「生きて虜囚の辱めを受けることをすすめるとはなにごとだ」
「こんな大将のもとに子どもを送り出したくない」
「失望した」
「国のために戦った兵士たちにめちゃくちゃ失礼」
「もう応援しない」
「国民やめます」

あわや大炎上かと思われたが、特高警察がただちに投稿者を特定し、全員逮捕したので、とくになんともなかった。

苦い文学

自己肯定感

ダメ、ゼッタイ!

「一回だけなら……」「すぐにやめられる……」 そんな気持ちで自己肯定感に手をだす人々が増加しています。

自己肯定感は、乱用する者を蝕むばかりか、その影響によって引き起こされる幻覚や妄想から、他人に被害を及ぼすことにもつながります。

依存症の危険もあります。自己肯定感の効果が切れると、自己否定感に苛まれるようになるのが依存症です。もっと強い自己肯定感を求めて、高額で無意味なセミナーやコーチング、スピリチュアル・セッションにハマるようになってしまうのです。

自己肯定感乱用者の告白 その1
「仕事のことで悩んでいた時に「自己肯定感を高めると魔法みたいになんでもできるようになるよ」と言われたのがきっかけでした。乱用が続いた結果、中身がスカスカの安っぽい自己啓発本で部屋がいっぱいになってしまい、自己嫌悪の毎日です」

自己肯定感乱用者の告白 その2
「自己肯定感を高めると、急に元気が出てきて、自分がスーパーマンになったような気持ちになりました。いっさいの批判を受け付けなくなったため、気づくと、知性はガタガタになり、幻覚症状が出て、陰謀論やヘイトスピーチを撒き散らすようになりました」

自己肯定感の乱用によりこのような恐ろしい事態が引き起こされますが、防止策としては、自己肯定の反対は自己否定ではなく、他者否定であるということに気づくのが効果的です。

苦い文学

世界征服離れ

「近頃の若者は」などとは、この時代では禁句ですが、それでも言いたくなるような時もあります。

つい先日も、新しい大量虐殺兵器の開発会議をしたのですが、どうも若い人々にはこういう巨大兵器は時代遅れに思えるようなのですね。「これからは悪もサステナブルであるべきでは?」だなんて言うのです。

私は思わずカッとなって、手元のボタンを押しました。目の前の床が抜けて、いつもだったら、そうした生意気な口を聞く部下は奈落の底に落とされるのですが、Zoom 会議だったことを忘れていました。

しかし、これはまあ、かえってよかった。高齢化社会では、若いスタッフを今までのように簡単に殺していては、世界征服事業自体が立ち行かなくなるのは目に見えています。

私たちも、若い人の意見をよく聞き、若い人のやり方に合わせる必要があるのです。例えば、若者のテレビ離れなどと言いますが、これは私たちのような悪の組織にとっては本当に困ったことです。

世界征服の宣言なり、世界連邦政府に対する脅迫なりは、テレビ電波を乗っ取って、お茶の間に我々の顔を映し出して行うのが伝統なのです。ですが、誰もテレビを見ないと言うのでは、これは意味がありません。かといって、Youtubeなどでは、テレビジャックされる驚きがないのです。

そこで、私たちは若い人々の意見を取り入れ、動画ストリーミング配信事業を立ち上げました。大量の会員を確保し、世界中の人々が動画を視聴しているときに急に画像をメチャクチャにして恐ろしげに現れればいい、と考えたのです。

なによりも会員数が大事ですから、どの配信サービスよりも安価で、どの配信サービスよりも豊富な動画作品をご用意しました。おかげさまで現在、会員数世界一となっております。

最近では、オリジナル作品にも力を入れており、韓国のプロダクション「スタジオ・ドラゴン」と共同制作した恋愛ドラマも独占配信しています。皆さんも、ぜひこの機会にご利用のほどお願い申し上げます。