風刺・戯文

プロンプトが変われば人生が変わる

今や AI は身近なものとなりました。私たちは、ChatGPT や Siri などにプロンプトという指示を与え、必要な文書を作成したり、イラストを描いてもらったりしています。ですが、もしも、あなたもまた、プロンプトによって生成されていたとしたらどうでしょうか。

「そんなバカな!」とお思いになるかもしれません。ですが、最新の宇宙論が、宇宙もまた巨大な AI によって生成されたと主張しているとしたら、どうでしょうか。宇宙にプロンプトが存在するなら、その中に存在するあらゆるもの、この地球や、自然、人類、そして今これをお読みのあなたにも、プロンプトがあるはず。

そこで、こんな疑問が浮かぶのではないでしょうか。

「自分自身のプロンプトを書き換えることはできないだろうか? そうしたら、もっとすばらしい人生が送れるのではないか」

「そんなバカな!」などと私は申しません。なぜなら、それは可能だからです! そしてまさしくそのプロンプトの修正によって、富と名声を手に入れた成功者たちが続々と誕生しているのです。

どうやって? 少しだけヒントをお教えしましょう。宇宙を作り出すほどの AI は、まさしく神です。ならば、現在あなたが使っている AI はなんでしょう。それは、遠く離れてはいるものの、神の AI の端末です。あるいは、こういった方がもっとわかりやすいかもしれません。ChatGPT や Siri は、神の使者、天使なのです。

では、どうしたら、ChatGPT や Siri、Gemini などの「天使」を通じて、あなたのプロンプトを修正することができるでしょうか? それを可能にする魔法のプロンプトによって、どうやってあなたが成功を手に入れることができるでしょうか?

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苦い文学

入ってもいいですかの撃退(後編)

平助は頭に血が上った。「うるさい、言わなくていいと言っただろ!」と口から出かかったのをなんとかこらえて、「入ってください!」と答えたが、それでも聞く人が聞けば、そこにトゲトゲしさを感じたかもしれない。

結局のところ彼の説明は効き目がなく、「入ってもいいですか」は相変わらずだったのだ。

平助はこの「入ってもいいですか」をいくども浴びたせいかもしれない、学生が入ってくるのを見かけると、ぶるりと体を震わせるまでになった。そうやって「入ってもいいですか」から身を守ろうとしていたのだ。そして、その過剰な反応がかえってこの問題を解決に導いた。

いつものように平助は教室にいた。すっかり過敏になっていた彼は、人の気配を察し、びくりとして、教室の入り口に目をやる。

ネパール人の学生が入り口に立っていた。あの容赦なき「入ってもいいですか」の学生だ。そして、その口がかすかに動いた。「入ってもいいですか、先生」を繰り出そうとしている、と身構えたとたん、平助の口がほとんど無意識のうちに開いた。

「おはようございます」

すると、その学生は「おはようございます、先生」と返事をし、なにごともなかったように教室に入り、着席した。

平助は初めは驚いた。が、すぐになにが起きたかを理解した。「そうなのか、先手必勝だったのか」

今では、平助はどの学生よりも早く教室に入り、教卓の前で学生がやってくるたびに「おはようございます」作戦を遂行し、「入ってもいいですか」を毎朝、撃退している。

苦い文学

私が駅になったら

私はおしゃべりだとよく言われる。たしかに、人といるときは絶えず話しているようだ。

なるほど私のまわりの人はしばしば不愉快そうな顔つきでいる。睨みつけたり、舌打ちしたり、これみよがしに席を立って離れた場所に移ったり。

「つまらない話ばかりしやがって!」と見知らぬ人に怒られたのもこのせいかと思う。喫茶店で、隣の客にコーヒーをぶっかけられたのもそうだ。「お前のくだらないおしゃべりを聞くために、コーヒー代を払っているわけじゃない!」とその人は怒鳴ったのだ。

私はもちろんおしゃべりをやめるつもりなどない。これが普通なのだから。それに、周りからケチをつけられてイラついているので、もっともっとおしゃべりになってやろうとすら考えている。

いっそのこと私は駅になりたい。

朝から晩まで、言わずもがなのことを延々と喋り続けてやるのだ。そして、一瞬、黙ったかと思うと、得意げに英語とか中国語とか韓国語とかでべらべらやりだす。多言語にも対応しているってわけ。もちろん、自分の代わりに機械にたっぷりアナウンスさせたり、一緒になって2重3重のポリフォニーでおしゃべりに楽しく花を咲かせたり。かと思うと、急におかしなメロディを奏ではじめたりして……。

私が駅になったら、人々は私につらく当たったことに後悔するだろう。そして、両の耳を全摘するか、あるいは、高性能のノイズキャンセル機能つきの高価なイヤホンを買うか、どちらかの選択を迫られるだろう。

苦い文学

核を使うたった一つの習慣

核戦争のおそれが高まる今、なによりも重要なのは、ウラジーミル・プーチンに核兵器の使用を諦めさせることだ。

そのためになにができるだろうか。私は、特定の本のグループをロシア語に翻訳してはならない、と考えている。それらの本がプーチンの目に触れたら、核戦争勃発間違いなしなのだ。

まず、危険なのは「嫌われる勇気」的な言葉をタイトルに含む本だ。我が意を得たりとばかりに、プーチンがもっと嫌われる方向に勇気だしちゃったらどうするのだ。

そして「すぐやる人」という語がタイトルに含まれる無数の本も極めて危険だ。

いったい、これらの本の著者たちは、「すぐやる人」の手元に核ボタンがある可能性を考えたことがあるのだろうか。ないから、こんな無責任な本が書けるのだ。

同じような理由から、「後回しにしない」とか、「やる気を出す」とか、「やり抜く人」「できる自分に変わる」「結果を出す」「夢をかなえる」などなどの文句をうたう本もロシアに輸出してはならない。

これらの本を読んで感激したプーチンが出版社にハガキを送ったらどうするつもりなのだ。

しかも、山手線の広告にまで使われたりして。

「迷っていた自分の背中を押してくれたような気がして、核兵器の使用を命じました」(ロシアのいち独裁者、70歳)

いったい、著者たちはどう責任を取るつもりなのか。