ホームではもう電車が待っていた。あの不機嫌そうな女がエレベータの横の車両に乗ったのを見て、私はその隣の車両に乗り込んだ。ドアが閉まり、電車は走り出す。そして数駅走ったのち、終点に到着した。
キャリーバッグを引っ張りながら私はエレベータを探した。それは階段の下に設置されていて、入り口の前の黄色い点字ブロックの上には、あの薄紫のスーツケースがあった。そして、その持ち手を引っ張って、あの女がカゴの中に姿を消した。私は「急ぎたければ急げばいいさ!」と、ゆっくりエレベータに近づいていった。
エレベータの扉が閉まり始めたとき、先ほどの背の高い老人がやってきて扉に割り込んだ。扉は容赦なく老人を挟み、その姿を一瞬、人形のようにした。だが、老人は手で扉をこじ開け、体を中に入れた。そして、入り口に立つと、私のほうを見た。
扉は開いたままだった。老人が「開ける」ボタンを押してくれていたのだ。私はゆうゆうとエレベータに乗り込むと、キャリーバッグをぐいと引き寄せた。そのとき、私は自分の後ろで、もうひとりの客がやってきたのに気がついた。老人はその人が乗り込むと「閉まる」ボタンを押した。
エレベータは四人を乗せて上昇を始めた。
ウヒヒ、と私は心の中で思った。