私たちの夢は聖地巡礼だ。鋭い山頂に乗っかる聖域、海の光が眩い白い塔、風の吹く墓地。いつか、いつか巡り歩きたいと思いながら、つらい人生を生きている。
私たちには養うべき家族がおり、支払うべき負債があり、苦しむべき労働がある。夜は亡霊のようだ。
私たちには知恵も生気もなく、ただ奪い取られるばかり。報酬はといえば、恥辱と侮蔑だけだ。孤独が孤独でもこれほど孤独ではないだろう。
いつか金を手に入れたら、いつか自由を手に入れたら、いつか頭を上げることができたら、いつか、いつか、いつか……いつか私たちは聖地巡礼の旅に出発するだろう。
だが、私たちは決して聖地に着くことはないだろう。私たちが聖地に行くよりも先に、病と老いと死が私たちのもとにやってくるから。奪われ続けた私たちは、苦しみと悲しみにまみれた生を最後に奪われるのだ。
そして、そのとき、私たちは、自分たちが知らずして聖地を巡礼していたことを知るだろう。