風刺・戯文

金は今が買い時

初めてみませんか、金投資。

長期的な資産形成を目的とするならば、現在は金が買い時なのです。金の価格は、2026 年 3 月時点で史上最高値圏に到達しました。しかも、専門機関は、今後 10 〜 20 年スパンでさらなる上昇を見込んでいます。

つまり、今、金に投資すれば、長期的に大きなリターンが期待できるのです。もう金に投資しないわけにはいきませんね。

「でも、金投資にもリスク、あるんじゃない?」って踏み切れない方もおられるのでは。ですが、金価格の上昇要因を理解すれば、そんな不安も払拭できます。

【金価格上昇を支える主要因】
・SNS の普及により、誰もが常時やかましく発言する駄弁のグローバル化が進行。
・嘘を巧みに言いくるめる政治家を崇める風潮が主流に。
・あらゆるものを言語化する言語化ブームは今後ますます拡大。
・声の大きい者が振るう暴力が加速。

そうなのです。沈黙こそこれからの希少資産です。それでも迷っているあなた、つべこべいわずに黙って金に投資!

風刺・戯文

数学の問題

問題
あるスーパーで、収益の拡大と顧客への利益の還元、地域活性化を目的に、大規模なセールとイベントを 3 日間にわたり実施した。セールでは、商品総数の 70 %が 3 割引、20 %が半額、残りが定価販売された。また、地元の生産者の協力のもと、地域の野菜や食品の即売も行われた。イベントでは、家族向けのくじ引き大会やサル回しなどが行われ、期間中は大盛況であった。

(1)商品総数が x、地元の生産者の協力者が y 人、そしてセール期間中の来店者数が z 人の場合において、売り手(スーパー)、買い手(客)、世間(地元生産者)がそれぞれ利益を得たとき、次の n に入る数を求めよ。

  「n 方よし」

(2)スーパーの経営者が「n 方よし」に入る自然数 n を以下のように設定した場合、x がいくら以上の場合、経営が破綻し、経営者がその地位を追われるか。

   n = x³ (ただし、n>3)

(3)「n 方よし」において、n が虚数の場合に利益を得る異次元の存在を召喚せよ。

風刺・戯文

卒業文集投資ビジネス

犯人が捕まったとき、テレビ局がまず探すのが小学校の卒業文集だ。なぜなら、犯行の全貌を明らかにするためには、犯人の子どものときの作文が不可欠だからだ。「犯罪者は子どものときから犯罪者だ」と喝破するほどの鋭い知性の持ち主でなければ、テレビマンはやっていけない。

それで人々は、日本中の卒業文集を探し歩いて、これぞというものをストックするようになった。なぜなら、必要なときにテレビ局に高値で売りつけることができるからだ。なかには、犯罪率の高い地域の小学校に絞って、卒業文集を集めている人もいる。投資にものを言うのはデータだ。

そんななか、最近では富裕層が新しい取り組みを始めた。いくつかの小学校をターゲットにして、近隣を極度に貧困化することで、子どもの犯罪性向を人工的に高めようというのだ。政治家たちの力を借りて、当該地域へのヤクザの移住も積極的に推進している。そして、選りすぐりの教師たちが、これだという児童に心の傷を与えて犯罪への脆弱性を育むとともに、しっかりとした作文指導を施して、すばらしい卒業文集を毎年制作しているという。

いつの日か、これらの小学校が輩出した著名な凶悪犯たちが、卒業文集の価値を高騰させ、巨額のリターンで報いてくれるはず、と富裕層は、今も卒業文集の養殖に巨額の投資を続けている。

風刺・戯文

中流の旅

しばらく前のことですが、私は、ニュースを見てとても驚きました。日本で貧富の格差が広がり、このままだと富裕層と貧困層だけになってしまう、というのです。

昔、日本は一億総中流と言われていました。なのに、その中流がごっそりいなくなってしまったのです。私は自問自答しました。自分は中流だろうかと。というのも、もし中流ならば、私は絶滅寸前の種ということになるからです。「ここにいるぞー!」とニュースに反論したかったのです。ですが、答えはノーでした。私は貧困層だったのです。

この日から、私の中流探しの旅が始まりました。知り合いを訪ね、知り合いの知り合いをさらに訪ね、中流かどうか聞いて回りました。ほとんどが悲しげに首を振って、貧困層だと答えました。ごくまれに「富裕層だ」とベンツの窓を開けて答える人もいました。ですが、中流と自認する人はひとりもいなかったのです。

いったい、中流はどこに行ってしまったのでしょうか? どこか遠い国を流れる川の中流のジャングルに潜んでいるのでしょうか。あるいはもう手遅れで、ニホンオオカミのようにとうに絶滅してしまったのでしょうか。せめて剥製でもみつかりはしないかと、今は各地の中学校を回っているところです。

風刺・戯文

子どもたちを見守りたい

私の子どもの通う小学校に不審者が現れた。

その男は毎朝、小学校の校門の前に立ち、登校してくる子どもをじっと見守っていたのだ。黄色い腕章をつけ、小学校の名前の入ったベストを着ていたので、はじめは誰もが、PTA か地域の防犯活動かと思っていたが、そうではなかった。

腕章もベストも自作のニセモノ、男は関係者を装い、子どもたちに熱視線を注いでいたのだった。

学校は通報し、ただちに駆けつけた警官たちが男を連行した。その後しばらくして、私たちは男の動機を知ることになった。

男が子どもたちを付け狙っていたのは、日本が今、危ないからだというのだ。現在の日本は、少子高齢化と 40 年以上続く「失われた 30 年」のため、経済的に衰亡しつつある。「このままでは最貧国になってしまう!」 そんな恐れを抱くようになった男は、日本の衰退の程度を知るために、毎朝、校門の前で子どもたちの様子を窺うことにしたのだという。

「ええ、目なんです」と男は告白したそうだ。「貧しい国の子どもたちってのは、みんな目がキラキラしてるそうじゃないですか。あたしは、日本の子どもたちの目が輝き出してないかどうか、毎日、目を光らせてたんです」

そう語る男の目は、キラキラ輝いていたという。

風刺・戯文

バブルのトラウマ

私たちはバブル崩壊以降、なんでも膨らむものに警戒するようになってしまった。なぜなら、それは必ず破裂するからだ。バブルの破裂があまりにも衝撃的だったため、網で餅を焼くのさえ怖くなってしまった。アツモノに懲りてナマスを吹くありさまだったのだ。

経済のどんなに小さな膨らみでも、私たちはもうドッキリ番組の巨大風船のようにハラハラしてしまう。大慌てで叩き潰さずにはいられないのだ。

もう膨らむ経済はゴメンだ。だが、どうしたらいい? 私たちは考えに考えた末、ついに結論に到達した。経済を回すのだ。それ以来、私たちはシャカリキになって経済を回してばかりいる。

そんなとき、中国でどんどん富豪が誕生し、裕福な中国人が爆買いにやってきた。経済を回すのにかかりきりで飲まず食わずの私たちは、回す手を休めて、こうつぶやいたものだった。

「かわいそうに、そのバブルはきっと破裂するのに」 そして、私たちは再び経済回しに取りかかった。だが、それから何年経ったことだろうか。中国のバブルはいっこうに破裂せず、その気配すらない。そのいっぽう、経済を回す私たちの腕は痩せ細り、目も回ってフラフラしている。

もしかしたら、と私たちは考えた。私たちは間違っていたのかもしれない。バブルとは崩壊するに決まったわけではないのでは? そうだ。破裂しないバブルもあるのだ!

私たちはもう経済を回すのはコリゴリだ。回せば回すだけ、経済は碾き臼のように私たちの体を粉砕していくのだから。やはり、私たちにはバブルしかないのだ。

バブルのトラウマはもう終わりだ。アツモノに懲りるのはやめよう。そして、ナマスを吹くその息で、世界一のバブルを膨らませよう。

風刺・戯文

非包茎税

いわゆる独身税の成功に味を占めた日本政府が、新たな税源の確保を目指して開始したのが、「非包茎税」でした。これは、包茎でない者が負担する税であり、その税収の一部は「少子化対策包茎家庭支援金」の財源となりました。この制度は、包茎男性の自信を強化し、包茎家庭における子作りを活性化させることを目的としていました。

一見、非包茎者にとって不公平に思えるこの制度でしたが、ひとつ変わった特典がありました。「非包茎税」を収めた国民は「非包茎納税者」としてネット上で広く公示され、また、「非包茎納税者」であることを示すステッカーが与えられたのです。

そのためかどうかわかりませんが、多くの国民がこぞって「非包茎納税者」として納税し、政府の税収を押し上げたと記録されています。実際の「非包茎者」割合から、偽りの非包茎者が多くいたものと推定されていますが、あくまでも自己申告ベースであったので、問題にはなりませんでした。

ただし、非包茎であるのもかかわらず、包茎だと偽って納税しなかった場合、きわめて悪質な脱税として、追徴金のほか重大なペナルティが待ち受けていました。これら国の義務を遂行しない「仮性国民」は、「善悪を見分ける目が皮で覆われた皮いそうな者」と大いに軽蔑されたそうです。

風刺・戯文

老後の移住

老後は、物価の安くて暖かい国でのんびり過ごせたら……そんな夢を抱いて日本への移住を決断したのは 68 歳の A さん。貯金と退職金は資金としても十分です。異国の地で何不自由ない生活が待っているはずでした。

しかし、思わぬ落とし穴が待ち受けています。

「なによりも大変だったのは現地の人との習慣の違いでした。時間に遅れると怒り出すし、野菜のこと(おそらく報連相のこと)ばかりいつも言っているし……道はゴミひとつないというのは評判の通りでしたが、歩いている人がみなゴミでした。それに、聞いていたよりもトイレも汚かったんです」(A さん)

ストレスフルな生活にさらに拍車をかけたのが、考え方の違いです。

「日本人は顔以外のことに関心がないのです。いつでも『あの人は顔が変わった』とか『整形だ』とか『メガネだ』とか言っています。ニュースもそんなニュースしかないのです」

そしてついに決定的なできごとが A さんの身に降りかかります。

「日本人はついに私の顔のことまで口を挟むようになったのです。『お顔の激変ぶりに唖然です』『ビジュに賛否ありそうですね』 もうたくさんです」

ついに帰国を決意した A さん。

「地球温暖化のおかげで気温も寒くないし、失われた 100 年のおかげで安く過ごせると思いましたが、やはり、安い国は安い国でした。移住の前に十分下調べをしておけば、と悔やまれます」と後悔しきりです。

今回の移住で、資金の一部を失った A さんですが、「安物買いの銭失いですが、安物だけあって大した損もしていないのが不幸中の幸いです」と、明るく語ってくれました。

風刺・戯文

私の節約法

この世界はなんと悲惨に満ちていることでしょうか。

どれだけ多くの人々が、なんの罪もないのに、命を奪われていることでしょうか。自分のものでない戦争のために戦場に駆り立てられ、政治家たちの無責任な虚言・流言飛語・陰謀論の責任を押しつけられて、惨めに殺されていることでしょうか。

そして、どれだけ多くの子どもたちが、自我すら芽生えぬ幼児たちが、それどころか、この世界の光を浴びたばかりの赤子たちが、大人も背負えないほどの苦しみを味わいながら、無惨にも殺されていることでしょうか。

私はいつもこれらの命のことを考えるようにしています。そして、これらの命がこの地上にもう一度、生まれるよう、そして平和な人生を送れるよう、心から願っています。

とくに私が「人生は一度きりだから、これ買っちゃえ」とか、「たった一度の人生だから、贅沢しちゃうぞ」とか考えがちのときに、そう願うようにしているので、余計な出費を抑えることができ、ずいぶん貯金ができました。

これからも悲惨な世界に期待しています。