苦い文学

ショック記事

マスコミの世界でなんと呼ばれているのかわからないが、「ショック記事」とでも呼べそうなタイプの記事がある。そのタイトルはいつもこんな感じだ。

「鈴木たかしショック! 主演ドラマ書店が閉店へ」

「鈴木たかし」というのは、私が適当に作った俳優の名前だが、このニュースの内容は、彼がかつて主演したドラマのモデルとなった本屋が閉店するというものだ。

この「ショック記事」では大事なきまりがいくつかある。

まず、ショックを受ける(とされる)人(ショック者)は、それなりの有名人でなくてはならない。

「斉藤ひでおショック! トム・クルーズ来日延期」

いったい知らないおじさんがショックを受けるという情報に何の価値があろうか。

また、ショック者と出来事の間に何らかのつながりがなくてはならない。仮に斉藤ひでおさんが有名人だとしても、最低でもトム・クルーズの熱心なファンでなくては、この記事は意味を持たない。

さらに、ショック者があまりにも事件に深く関与していてもいけない。だから「森元首相ショック! 高橋元理事逮捕!」なんてのもダメだ。

そして、ショック者が不特定多数でもいけない。例えば「国民ショック! 北からまた飛翔体」。

最後に重要なのを挙げるとすれば、ショック者が本当にショックを受けたかどうかについては、取材すらされない、ということだ。つまり、記者が「ショックを受けたにちがいない」と勝手な推測をし、それをタイトルにまでしてしまうのだ(もちろん、まれに本人がショックを受けたのが事実である場合もある)。

そんなわけで、ショック記事というのは、ショック者の性質、出来事の関係などいろいろな要素が絡み合ってできていて、案外難しいのだ。

だが、私は、長年のショック記事の研究の結果、万能のショック者を発見した。

それは尾木直樹氏だ。

「尾木ママショック!」 

さすが著名な教育評論家、どんなニュースにも合うのでぜひ試してほしい。