ネパールの日本語学校で使っているという教科書を見せてもらった。現地でネパールの日本語教師が出版したもののようだ。表紙を開くと、なにやら偉い人の写真が載っているが、ネパール語が読めないのでだれだかわからない。
教科書は分厚く、かなりの情報量だ。会話と単語と文型がびっしり詰め込まれている。日本語の後に、ネパールの文字で発音が記され、ネパール語と英語でその意味が書いてある。
パラパラと見ていた私は、「ことわざ」と書かれたページに目が止まった。日本のことわざが紹介されている。
最初は「1.てんせきこけ を しょうぜず」。発音、ネパール語訳、英訳が記してある。次は「2.ねこの て も かりたいほど だ」だ。だが、英訳はない。3つ目は「ねこにこうばん」。英訳はないが、「こうばん」は交番ではなく小判のことだろう。
そして、4つ目に「さるの て に ここのつ」とあった。
「猿の手に九つ」? 英訳もないので意味がわからない。日本語の教科書に載るようなことわざに知らないものがあったとは。
私は自分の教養のなさを恥ずかしく思い、「猿の手に九つ」をさっそく検索した。
……いろいろ調べてみてわかったのだが、本当は「猿の手にココナッツ」だった。ネパールのことわざで、意味は「猫に小判」と同じだ。