日本の老人は「逆」に夢中だ。
まず、高速道路はいつだって逆走だ。アクセルとブレーキを逆にして子どもを逆縁にするのも、ことあるごとに逆上・逆ギレ・逆恨みして、逆待に精を出すのも老人だ。しかも、どうやら考え方も逆コースなのだ。
そのうち、写真に写れば逆光、街に出れば逆ナンということにもなりかねない。
老人たちがあまりにも「逆」向きなので、逆でない老人がいたら逆に心配になるくらいだ。
若者たちは老人たちを変えようと手を尽くしたが、老人たちの逆鱗に触れるばかりだ。
私はこの問題に若者が関わるのはかえって逆効果だと考える。なぜなら、老人たちの「逆」への執着は、時間を逆上って、若さを取り戻したい、逆三角形の肉体だったころの自分に戻りたいという逆しまな欲求が原因だからである。
「逆」を集めることにより、老いから若さへと逆向きに進もうなどというのは、逆立ちしてもありえない原始的な呪術思考だ。だが、いい歳をした老人たちが、この呪術に陥る姿は、年の功が亀の甲に逆転負けを喫するという、現代の逆説的状況をあらわにしているといえそうだ。