デビッド・バーコウィッツ、テッド・バンディ、ジョン・ゲイシー、ハンニバル・レクター……昔、アメリカが強大で、輝いていたころ、各地にそれこそ綺羅星のごとくシリアルキラー(連続殺人鬼)がいて、それぞれの技と趣味を競ったものだった。
だが、現在はどうだろうか。シリアルキラーのニュースなどとんと聞かないのだ。そのかわりアメリカから聞こえてくるのは、銃乱射事件ばかりだ。昔は人ひとり殺すのにも、皮を剥いだり、冷蔵庫に保存したり、食べてみたりと、個性豊かだったが、いまは銃を振り回して一度にまとめて殺すだけだ。これは単なる大量殺人で、連続殺人ではない。
もはやシリアルキラーの時代は終わったのだろうか、そんな味気のない世になってしまったのだろうか、そんなふうに嘆いていたところ、アメリカからじつに愉快なニュースが届いた。
シリアルキラーを復活させるプロジェクトがかの地で進行中だというのだ。白人男性をターゲットにシリアルキラーへの転身を促すさまざまな支援が実施されているという。
興味深いのは、このプロジェクトに巨額の資金を提供しているのが銃規制反対派のロビー団体だということだ。なんでも「銃乱射事件が増えたのは、シリアルキラーが減ったせいであり、シリアルキラーを保護育成すれば、銃乱射事件は確実に減る」のだという。
つまり「銃が人を殺すのではない、シリアルキラーが人を殺すのだ」というわけだ。
このプロジェクトによって、全米各地でシリアルキラーが大いに活躍するようになれば、銃乱射などという不粋な行為も姿を消すに違いない。そんな安全で偉大な時代の到来こそ Make America Great Again でなくてなんであろうか。