苦い文学

再再再入国許可書

外国の入国審査の列に並ぶたびに、私は思う。

どうか自分の列に厄介なパスポートの持ち主がいませんように! 

そのせいで待たされませんように!

だが、不幸にもそうした列に並んでしまうこともある。そんなとき私は隣の列に自分が追い抜かされていくのをジリジリしながら眺めるのだ。

そして今、私の友人が「その厄介なパスポート」の持ち主となり、目の前で審査官とやりとりをしている。

私は思った。もっと寛容になろう。人それぞれには事情があって、「普通」と違うということはときとして苦労するのだ。そう私はいま学んだのだ。

だから、もし次に入国審査で誰かが私の列をせき止めていたとしても、「この怪しげなパスポート持ちめ!」などと罵るのはやめにしよう……その人は私の友人かもしれないのだ……

そして今、審査官は再入国許可書を開き、ポンポンとハンコを押した。ようやく終わったのだ。

私は、友人についに入国許可が下されたことと、自分に新たな学びが与えられたこの瞬間を喜び、清々しい気持ちになった。

もっとも、私の後ろに並ぶ人々がどう考え、どうジリジリしていたかはわからない。