長らく無職だった私だが、最近、とても良い仕事を見つけた。
どんなのかといえば、人々がいろいろな問題を持ってくるのを解決するのだ。やりがいもあるし、人助けにもなる仕事だ。
難しそうに思えるかもしれないが、実は簡単だ。どんな問題もたいてい一言でカタがつく。
たとえば、「お前ら何にも仕事しないじゃないか」と怒鳴り込んでくるのがいる。
私は堂々とこんなふうに言う。「それは私どもとは認識が違います」
これでもう相手は反論できない。またこんなのもいる。
「お前らの仕事のせいで子どもが死んだ!」
もちろんこれも「それは私どもとは認識が違います」でオーケーだ。
ほんとに簡単だし、会社のために役立っていると言う実感もある。しかも、お金にもなる。この「それは私どもとは認識が違います」を一回言うだけで 500 円もらえるのだ。
とはいえ、注意しなくてはならないこともある。それは絶対に「私ども」でなくてはならない、ということだ。
うっかり「それは私とは認識が違います」となどと口走ってしまったことがあるのだ。その時は大変だったな。連中すぐさま「上司を出せ!」と絡むこと絡むこと。もっともこれも、追い「それは私どもとは認識が違います」でやっつけることができた。あくまでも「私どもの認識」でなくてはならないのだ。
しかし、この認識とはなんだろうか。まるでカチンコチンのレンガみたいなのだ。私がしているのは、この認識を積み上げて、ぐるりと壁で囲んで難攻不落の城塞を作るお仕事。
なんと誇らしい仕事ではないか。