苦い文学

副葬品

【野見楠古墳発掘レポート】

この度、野見楠古墳(のみくすこふん)で初の大規模な発掘調査が行われました。発掘から見えてきた古代の生活について、責任者の森友一先生にお聞きします。

記者:野見楠古墳は変わった特徴を持つ古墳だとのことですが。

森先生:ええ、右方後円墳という右寄りの珍しい形状をしています。

記者:今回の発掘調査で被葬者についてどのようなことが分かりましたか?

森先生:被葬者は古代の非常に有力な人物であったと想像できます。おそらくこの辺り一帯のクニの指導者ではないでしょうか。今回の発掘では大量の副葬品が出土しました。これはクニをあげて葬儀が営まれた証拠です。古代の国葬とでも申せましょう。

記者:野見楠古墳の副葬品が、考古学界でも大きな話題となりましたが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

森先生:数えきれないほどの重要な発見がありました。ここではその3つをご紹介しましょう。まず、考古学的に最も注目すべきは、銅の剣です。腐食が激しいのですが、さいわいにも銘文の解読に成功しました。部分的に欠損していますが「戸◼️毛土須」と読めます。◼️の部分はおそらく「利」でしょう。「トリモドス」です。おそらく古代世界の呪文ではないかと考えられます。

記者:「トリモドス」と唱えてクニを支配していたということですね。

森先生:ええ、そうです。次にご紹介する出土品もやはり支配に関係あるようです。これらの像をご覧になってください。

記者:ねじれたり、ひんまがったりしていますね。なんでしょうか。

森先生:どれも愛国心を形どった像だと考えられます。これらさまざまな形の愛国心が、石棺を取り巻くように配置されていたのです。お気づきになられたように、どれも歪みに歪んだ形象です。このねじくれ具合は、外敵に対する恐怖を表しているのでしょう。古代の人々は、これらの愛国心でクニを守れると信じていたにちがいありません。

記者:現代の私たちには理解のできないことです。

森先生:最後にもっとも謎めいた副葬品についてお話ししましょう。石棺の下部に小さな穴があり、そこに壺が隠されていたのです。この壺については、わたしたちもまだ分からないのですが、その特徴から判断するに、古代の朝鮮半島に由来するもののようです。おそらく、なんらかの秘密の交流があったことの証ではないかと考えられます。

記者:今回の先生のお話をお聞きして、古代への霊感を大いにかきたてられた次第です。どうもありがとうございました。