私は今、資金集めに奔走している。というのも、かねてから実現を夢見ていた難民超能力開発研究所の設立を決意したからだ。
みなさんにも資金援助をお願いしたいので、この場を借りてこの研究所についてお話ししようと思う。
日本では難民として認定されるのは非常に難しい。出入国在留管理庁が 2021 年 3 月に出した発表によると、難民認定申請者数は 3,936 人、認定されたものが 47 人だという。つまり、難民として認定されるのは、申請者の 1 %ほどだということになる*。
(*難民申請の審査にかかる時間を考えると、この 47 人のほとんどは、2020 年度より前に申請した人であろう。またほかにも考慮すべきことはたくさんある。だが、ここではすべて無視して単純に計算している。)
すなわち、日本における認定難民は 1 %という狭き門をこじ開けることのできた特殊な人々なのである(合格率 1 %の国家試験があったら、と考えてみてほしい!)。
もしかしたら、これらの人々は、事象の確率を操る能力があるのではないだろうか。そんな能力があれば、たとえ確率が低くても難民認定など朝飯前なのだ。
そのとおり。まさしく認定難民たちは超能力者なのだ。
そして、難民超能力開発研究所の目的は、認定難民の持つこの超能力をさらに開発し、その能力を日本の安全保障のために用いることだ(この能力があれば、クレムリンでも、ホワイトハウスでも、どこだって簡単に忍び込めるのだ!)。
研究所はいくつかの部分に分かれている。もっとも大きな部分を占めるのが認定難民に超能力開発訓練を提供する場だ。そこでは、ヘッドギアをつけた難民たちが、サイコロを振ってゾロ目を何度も出したり、じゃんけんで連勝したり、あるいは高度な交通シミュレータでいくつもの信号を常に青で通過する訓練を行なっているのが見られるだろう。
別の部分では、難民を開頭し、その脳に直接的な刺激を与えることで、超能力を引き出そうという試みが行われる。また、超能力を飛躍的に増大させるために強力で特殊な薬物を投与する実験棟もある。
こうした研究所では、警備もまた重要だ。なぜなら国防上のトップシークレットそのものだからだ。難民たちの安全を守る上でも、警備は厳重でなくてはならない。
万全を期すため、警備員には入管職員を採用するつもりだ。