苦い文学, 難民, 入国管理局

その場しのぎ

日本政府が去年の夏出した「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」というのは、ビルマ情勢の悪化のため日本での在留を希望するミャンマー人に積極的に在留と就労を認める、というものだ。

この措置は、難民認定申請者もまた対象としている。申請者のうちには、不法滞在の状態から難民申請した者もいるが、こうした人にも、特定活動ビザが出るようになった。

ただし、制限がないわけではない。6か月ごとに更新しなくてはならず、また週28時間以上は働けない。それでも、入管に収容される恐れなしに生活できるというのは大事なことだ。

ただし、この措置には問題がないわけではない。

最近のことだが、在留を希望するビルマ人難民申請者に、入管が、この緊急避難措置にもかかわらず、在留許可を出さないケースがあるのを知った。

その人は事情があって働けないのだ。

つまり、この特定活動ビザは、就労できることが前提となっているといえなくもない。

これは、働けない人は緊急避難措置の対象とはならないということだ。そういう人は、強制送還されて、危険に直面することとなる。

働くことができようとできまいと難民は難民だ。難民保護の基準が仕事ができるかできないかであってはいけない。

もしかしたら、緊急避難措置というのは、入管が難民問題に直面することを避けるためのその場しのぎの措置、つまり入管にとっての緊急避難措置でないかという気もするのだ。