苦い文学

ポールの等式

数学には未解決の問題がいくつもある。リーマン予想や P≠NP 予想などには懸賞金すらかけられている。

もっとも、数学者たちの努力と天才も並々ならぬものがあって、フェルマーの最終定理やポアンカレ予想といった難問も解決済みとなったし、これからも AI の活用により次々と難問の数学的証明がなされていくであろう。

最近、イギリスの科学誌 “Mother Nature’s Science” でこれら数学上の難問の特集が組まれた。同誌によれば数学史上最大の難問とは「ポールの等式(もしくはポール予想)」だということだ。ポールの等式とは次のようなものであるが、いかなる数学者もこの証明に成功したことがないのだという。

  lt = lm

これだけだと素人には何のことだかわからないが、これは次のようなことを意味しているのだという。

And in the end the love you take is equal to the love you make
(結局のところ、受け取る愛は作り出す愛に等しい)

記事では、この等式の証明のためになされてきたさまざまな試みについても述べられているが、あまりにも専門的すぎて私にはわからない。ただ、ある数学者が「これからもわたしたち数学者たちはこの難問の解決のために、幾晩も『ひとりぽっちのロンリー・ナイト』を過ごさねばならないでしょう」と述べていたのが印象的だった。